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箱庭療法学モノグラフ 第22巻
内観療法で「母」を想起することの治療的意味
心理臨床的体験の再検討
橋本 俊之 著
内容紹介
母を想起することの何が治療的に働くのか?
本書は、内観療法における諸主題から、最も重要とされる「母」に関わる過程に注目して、「内観療法で『母』を想起することにはどのような治療的意味があるのか」を明らかにすることを目的とする。
「内観療法において、母を想起することの何が、クライエント(内観者)に治療的に働くのか」について、著者の内観療法の臨床事例で見られた過程を提示して、文献研究や調査参加者を対象とした調査研究の質的データで記述された現象から検証した上で、カウンセリング形式の内観療法の臨床事例を考察する。もっと見る
目次
刊行によせて
木村晴子記念基金について
序 章 本書の特徴と構成
第1章 問題と目的
――内観療法の何をどのように研究するのか
1.はじめに
2.内観療法とは
3.集中内観の過程
4.集中内観の構造
5.内観療法の現状と課題
6.内観療法の研究の現状と課題
7.本書の方向性
第2章 事例研究① 摂食障害の20代後半女性Aの集中内観の事例Ⅰ
――内観療法の臨床事例では「母」がどのように体験されるのか
1.問題と目的
2.事例Ⅰの概要
3.事例Ⅰの経過
4.考察
5.おわりに
第3章 文献研究 『観無量寿経』による内観療法の「母」の理論的考察
――仏教的背景から内観療法の「母」がどのように捉えられるのか
1.問題
2.目的
3.『観無量寿経』の瞑想法を考察する
4.『観無量寿経』の瞑想法から検討する内観療法の「母」
5.おわりに
第4章 調査研究① 大学生による内観3項目の主観的体験の考察
――内観3項目による「母」を主観的体験から検討する
1.問題と目的
2.研究方法
3.本調査の提示方法について
4.協力者P1の調査事例の提示
5.協力者P1の調査事例の考察
6.おわりに
第5章 調査研究② 内観3項目で「母」がどのように体験されるのかⅠ
――「してもらったこと」と「してもらいたかったこと」のバランスシート
1.はじめに
2.協力者P2の調査事例の提示
3.協力者P2の調査事例の考察
4.協力者P3の調査事例の提示
5.協力者P3の調査事例の考察
6.協力者P2とP3の調査事例の総合的考察
7.おわりに
第6章 調査研究③ 内観3項目で「母」がどのように体験されるのかⅡ
――「してもらったこと」と「して返したこと」が伴奏する
1.はじめに
2.協力者P4の調査事例の提示
3.協力者P4の調査事例の考察
4.協力者P5の調査事例の提示
5.協力者P5の調査事例の考察
6.協力者P4とP5の調査事例の総合的考察
7.おわりに
第7章 調査研究④ 内観3項目で「母」がどのように体験されるのかⅢ
――罪悪感が質的に転換して素直な気持ちになる
1.はじめに
2.協力者P6の調査事例の提示
3.協力者P6の調査事例の考察
4.協力者P7の調査事例の提示
5.協力者P7の調査事例の考察
6.協力者P6とP7の調査事例の総合的考察
7.おわりに
第8章 事例研究② 20代後半男性Bの日常内観をフォローアップしたカウンセリング形式の事例Ⅱ
――集中内観ではない内観療法で「母」がどのように体験されるのか
1.問題
2.目的
3.事例Ⅱの概要
4.事例Ⅱの経過
5.考察
6.おわりに
第9章 比較研究 内観者と面接者の関係性による「場」の観点からの考察
――内観療法の事例Ⅰと事例Ⅱとの比較検討を通して
1.問題
2.目的
3.事例Ⅰと事例Ⅱの概要
4.考察
5.おわりに
第10章 総合考察
1.各章のまとめ
2.事例研究と文献研究における内観療法の「母」の治療的意味
3.調査研究における内観療法の「母」の治療的意味
4.本書の意義と今後の課題
付 章 内観療法の事例における罪悪感と無常観の一考察
――『モモ』の「灰色の男たち」と「時間の花」の観点から
1.問題
2.目的
3.事例の概要
4.事例の経過
5.考察
6.おわりに
註
引用文献
人名索引
事項索引
初出一覧
あとがきもっと見る
著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]橋本 俊之(ハシモト トシユキ)
1977年、大阪市生まれ。2000年、立命館大学文学部史学科卒業。2022年、京都文教大学大学院臨床心理学研究科博士後期課程修了。社会福祉事務所の勤務を経て、2010年、ふうや内観研修所を開設し、現在に至る。ふうや内観研修所所長、面接者。京都文教大学非常勤講師。聖母女学院スクールカウンセラー。博士(臨床心理学)。臨床心理士。公認心理師。
論文に「“イメージ”からとらえた内観療法事例の一考察――クライエント・セラピスト関係による『場』の観点から」(箱庭療法学研究,34(2),17-27,2021年)、「内観療法における『母』を考える――『観無量寿経』の瞑想法を通して」(ユング心理学研究,14,131-150,2022年)など。もっと見る
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