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2024.09.03
「今月のおすすめ本」を更新しました。
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「子どもの本100問100答」を更新しました。
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書籍紹介動画

学校・図書館さまにおすすめの書籍の内容を、動画でご紹介します。

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今月のおすすめ本

おすすめの新刊や話題の書籍を、教育・図書館関係者さまの推薦のことばとともにご紹介します。

はたらく本屋

はたらく本屋

吉田亮人写真/矢萩多聞文
定価 2,420円(税込)

朝から晩まで、ひとつの職業の人にはりついて、その仕事や暮らしぶりを見つめてみた。大人と子どもがともに読みながら「はたらく」ことの意味を考える写真絵本シリーズ。

はたらく中華料理店

はたらく中華料理店

吉田亮人写真/矢萩多聞文
定価 2,420円(税込)

朝から晩まで、ひとつの職業の人にはりついて、その仕事や暮らしぶりを見つめてみた。大人と子どもがともに読みながら「はたらく」ことの意味を考える写真絵本シリーズ。

奇妙で不思議な樹木の世界

奇妙で不思議な樹木の世界

英国王立園芸協会監修/ジェン・グリーン著/クレア・マケルファトリックイラスト/加藤知道訳
定価 2,750円(税込)

樹木の基本的な性質や驚くべき生態、ほかの動植物とのかかわり、自然環境における役割などについて、科学的な観点からわかりやすく説明した、科学絵本の傑作!

樹木図鑑

自然科学ハンドブック 樹木図鑑

アレン・J・クームス著/マシュー・ウォード写真/原登志彦、西川栄明監訳/千葉啓恵訳
定価 4,400円(税込)

1,600点以上の写真や図版とともに500種以上の交配種を含む世界中の樹種を紹介。簡潔な解説で、それぞれの種の主な特徴を素早く学べるポケットガイド。

貝類図鑑

自然科学ハンドブック 貝類図鑑

S.ピーター・ダンス著/マシュー・ウォード、サイモン・エイケン写真/黒住耐二監訳/山崎正浩訳
定価 3,960円(税込)

自然科学ハンドブックシリーズの第5弾。採集、保管などの基礎知識に加え、貝類482種を最新の分類体系で解説。米国スミソニアン協会公認。

美しいトマトの科学図鑑

美しいトマトの科学図鑑

矢守航、矢守那海子、松島依子著
定価 1,980円(税込)

50種類のかわいいトマトの写真集。著者のひとりである矢守航・東京大学農学部准教授が、東大の農場で育て、うま味、酸味、季節とうま味の関係などを科学分析しました。

世界を掘りつくせ!

世界を掘りつくせ!

アレクサンドラ・ステュワート、キティ・ハリス著/喜多直子訳
定価 2,640円(税込)

地面を掘れば、大昔の生き物の姿や人々の生活の様子がわかるお宝が出てくるかも。ミイラや恐竜の骨、巨大隕石など、秘宝を探しに考古学者たちといっしょにタイムスリップ!

奇妙で不思議な土の世界

奇妙で不思議な土の世界

英国王立園芸協会監修/ウェンジア・タンイラスト/ジャクリーン・ストラウド、マーク・レッドマイル=ゴードン著/林健太郎監訳/北川玲訳
定価 2,420円(税込)

地球上の生きものの暮らしを支える土について、多様な観点から解説。土の成分や性質、生物とのかかわり、自然環境のなかでの役割など、土と土がもたらす恩恵を解き明かす。

「科学のキホン」シリーズ 全4巻セット

「科学のキホン」シリーズ 全4巻セット

カート・ベイカー、ヘレン・ピルチャー、アリ・O・セゼル、ケン・アシュウェル著/東辻千枝子、日髙翼訳/野田泰子監訳/久保美代子訳
定価 12,320円(税込)

日常生活のあらゆる場面に、サイエンスはかくれている! 物理学/生物学/化学/解剖学の「キホン」を手描き風のイラスト&解説でサポートする入門書シリーズ(全4巻)。

シリーズ「あいだで考える」創刊5冊セット

シリーズ「あいだで考える」創刊5冊セット

頭木弘樹、戸谷洋志、奈倉有里、田中真知、坂上香著
定価 7,920円(税込)

不確かな時代を共に生きていくために必要な「自ら考える力」「他者と対話する力」「遠い世界を想像する力」を養う多様な視点を提供する、10代から読める人文書シリーズ。

身近なモノやサービスから学ぶ「情報」教室シリーズ①~⑤【全5巻セット】

身近なモノやサービスから学ぶ「情報」教室シリーズ①~⑤【全5巻セット】

土屋誠司編著/松本和幸、芋野美紗子、鈴木基之、柘植覚著
定価 13,750円(税込)

まるで授業を受けているような感覚が味わえる読みやすくて楽しい入門書。高校の「情報」の学習範囲に準拠し、写真や図表を豊富に掲載。学生から社会人まで役立ちます。

子どもの本
100問100答

子どもの本に関わる質問や疑問にQ&A形式でお答えします。内容は月替わりで更新いたします。
※2013年8月刊行『子どもの本100問100答』(一般財団法人大阪国際児童文学振興財団編)より抜粋
(2024.8.15更新)

子どもだけで生きていくことを描いた本はありますか?

ユートピア? サバイバル?

 『ハイジ』『小公女』『トム・ソーヤーの冒険』など、長年読み継がれてきた児童文学のなかには、親のない(または保護を失った状態にある)子どもを描いたものが多くあります。ジェリー・グリスウォルドは米国の古典児童文学の多くが孤児という状況設定を用いていることを指摘した上で、その背後に幼児期から児童期への移行に伴う情緒的な不安やアイデンティティの獲得という共通の課題を見出しています*1。日本の創作児童文学の始まりとされる巖谷小波『こがね丸』もまた、孤児となった主人公が親の敵討ちをする物語でした。孤児物語は児童文学の基本的なタイプの一つと言えるでしょう。

 子どもは大人の保護を必要とする存在です。逆から見れば「自分の思いどおりに生きていけるわけではありません」し、「与えられた居場所で生きる」ことを強いられた人々ともいえます*2。それだけに、子どもだけで生きていくという状況設定は、多くの子ども読者にとって現実ではかなえられない夢や願望であるでしょう。他方、本人が望まないにもかかわらず子どもだけで生きることを強いられるとするなら、それはまちがいなく苛酷な状況です。それゆえに、孤児ないし孤児的な状況を描く本には一種の理想郷を描いた楽しい作品と、困難に直面しながらサバイバルしていく作品とがあります。一つの作品が両方の側面をもち合わせることも珍しくありません。

古典から現代作品まで

 スウェーデンの作家、アストリッド・リンドグレーンの『長くつ下のピッピ』*3シリーズもまた孤児の物語です。幼いころに母親を亡くし、船乗りだった父親も行方不明のピッピは、町はずれの古い屋敷「ごたごた荘」に1人で住んでいます。大金持ちで怪力の持ち主、学校にも通わず誰の命令にも従わないピッピは、子どもにとって今なおあこがれの存在でしょう。

 ロバート・ウェストール『海辺の王国』*4には空襲で家族とはぐれた後、放浪生活のなかで両親や兄弟のことを次第に忘れ、やがて出会った人物と新しい家族をつくろうとするハリーという少年が登場します。ハリーは戦時下という苛酷な状況を生き延びる子どもであると同時に、一時的にではあれ自分の意思で家族を選ぶチャンスを手に入れた子どもでもあります。ここに1でふれたような二面性を見ることができます。

孤児物語の現代的意義

 子どもと大人との関係が変化するなかで、孤児物語の系譜は多様化、拡張化しながら現在にいたっています。『たまごやきとウインナーと』*5では、育児放棄されて2人きりでくらす幼い兄妹が描かれます。作中には親が家にいない理由が明示されていません。毎日の食卓が淡々と描写されることで、逆に兄妹が直面しているきびしい状況が浮かび上がります。児童虐待をとりあげた作品などは、きびしい状況下を自らの力で生き抜くという点で「現代の孤児物語」と捉えることもできるでしょう。

 養護施設と里親の家を転々とする『トレイシー・ビーカー物語』全3冊*6や、『ミンのあたらしい名前』*7などは、親子や家族の意味を考えさせる物語です。また、過去を舞台にした『ウィロビー・チェースのおおかみ』*8は、親の庇護がないゆえに、子どもたちが才能や生きる力を発揮して、「悪党の大人」と対決する痛快な物語です。

 子どもは成長の過程でさまざまな困難や試練にぶつかります。そして、周囲の人々に助けられながらも、自分の力でそれらを乗り越えていかなくてはなりません。そのような局面で、フィクションのなかでサバイバルする子どもたちの姿は大きなはげましや共感の対象になるでしょう。グローバル化や高度情報化が進行し、社会のありようが見定めにくいなかで、サバイバルという主題はますます重要性を増していると考えられます。

*注1.ジェリー・グリスウォルド『家なき子の物語』遠藤育枝他訳、阿吽社、1995 *注2.ひこ・田中『大人のための児童文学講座』徳間書店、2005 *注3.大塚勇三訳、岩波書店、1964、1988改版 他 注4.坂崎麻子訳、徳間書店、1994 *注5.村中李衣作、偕成社、1992 *注6.ジャクリーン・ウィルソン作、稲岡和美訳、偕成社、2010 *注7.ジーン・リトル著、田中奈津子訳、講談社、2011 *注8.ジョーン・エイキン作、こだまともこ訳、冨山房、2008他

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