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代表メッセージ


創業130周年を迎えて

創元社が創業した1892年(明治25年)は、日本が近代国家として歩み始めてからようやくその具体的な枠組みが固まってきた頃だったと言えるでしょう。明治22年には大日本帝国憲法が発布され、創業の2年後(明治27年)に始まった初めての対外戦争である日清戦争では勝利することになりますが、時代の空気は、極東の一小国が大国ひしめく世界へ打って出ようとしている、そんな勢いを感じさせるものでした。大阪の地においては、明治の初めには徳川時代の大名家の蔵屋敷が次々に廃止されて一時は賑わいが消えてしまいましたが、国家事業として造幣局や砲兵工廠が創設され、明治20年代以降は繊維産業が活発となり、徐々に発展を始めます。

そのような時の流れの中で、大阪市西区新町の地に「矢部晴雲堂」という小さな書店を開業したところから当社の歴史は始まります。開業当時は若い夫婦二人だけで、新刊・中古の聖書やその他のキリスト教関連本を販売していました。それから明治、大正、昭和、平成を経て令和の現在までの130年を、幾たびかの戦火、震災、恐慌をくぐり抜け、出版業界の栄枯盛衰の中を走り続けて、今日では多くのジャンルで書籍を刊行しております。

2020年から蔓延し始めた新型コロナウイルスは、近年の歴史の上でも特筆すべき大きな転換点となりました。未だ世界中で大流行のまっただ中にあり、収束の気配を見せません。「人が集まる」という生活様式が根底から否定され、我々が長い時間をかけて築いてきた世の中のルールが、経済的にも社会的にも破壊されようとしています。この世界史的な疫病感染の状況をいかに克服するのか、全人類の英知を結集し、ウイルスと共に生活していくためのパラダイムシフトが求められると言っていいでしょう。

今後は社会変化のスピードアップが喫緊の課題となります。デジタルネットワークの進展、AI化、ロボット技術、キャッシュレス化が、ビジネス、家庭生活、学校教育の現場で進まざるを得ない時代になってしまいました。
小社としましては、この不透明で変化の激しい時代を生き抜くため、知恵を出し、目の前の問題にひるむことなく挑戦して、読者のみなさまお一人お一人のお役に立てるよう努めていく所存です。

本年も変わらぬお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。

2022年1月1日

株式会社 創元社 代表取締役社長

矢部 敬一