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叢書パルマコン04
〈趣味〉としての戦争
戦記雑誌『丸』の文化史
佐藤 彰宣 著
内容紹介
『丸』を読まずして、平和を語るなかれ!
「『丸』を読まずして平和を語る勿れ。『丸』は戦争と軍事科学のやさしくて高級な専門雑誌です」をスローガンに、唯一無二の地位を確立し、石破茂、佐藤優、池上彰などの著名人も愛読者であったことを公言する長寿戦記雑誌『丸』。昭和23年に「総合雑誌」として創刊されていたという忘却された過去から始まり、戦記雑誌化し部数を延ばす昭和31年以降の誌面の変遷を追いながら、戦争をめぐる社会言説の変容を解明する戦後史論。もっと見る
目次
◆はじめに
戦争への執着/何が〈趣味〉としての戦争を成り立たせていたのか/ミリタリーカルチャーを見渡す媒体
◆第一章 「眞相はかうだ」の鬼子―一九四八年~一九五六年
「戦記」の専門誌ではなかった時代/総合雑誌『丸』の誕生/公職追放者の起用/抑留体験の生々しさ/「真相」を読む高揚感/遺族にとっての戦記/「丸はすべてをふくむ」/「アルコール」としての戦記/拡大路線からの急転直下
◆第二章 戦記雑誌への転身―一九五〇年代後半
遺族のための「戦記特集誌」/勇壮な空戦記/「初心」としての日本敗戦/屈辱と負い目、みじめさが絡まり合った敗戦体験/戦記ブームとの合流/現代社会批判の裏返し/懐かしい戦時期
◆第三章 「丸少年」の浮上―一九六〇年代初頭
メカニズム志向の登場/少年マンガ誌との相互参照/戦無派世代の教養体験/「戦史」としての戦記/「科学」としてのメカニズム/「軍事」から「科学」への連想/「平和を欲するならば、戦争の真顔を」/大人への抵抗
◆第四章 総合雑誌化の兆し―一九六〇年代後半
保守論壇への接点/戦争を語る総合性/SF未来戦記と「戦争の傷」/戦争体験を伝えるアポリア/戦争体験と戦闘体験/六〇年安保と戦争体験論の換骨奪胎/左派的歴史観への違和/プラグマティックな反戦論とベトナム戦争/戦中派の許容/思想、世代を超えるメディア志向
◆第五章 「現代の戦争」の余波と軍備への問い直し―一九七〇年代前半
「現代の戦争」のなかで/軍備をめぐる「対話」/丸少年の分派/死者の情念に即した軍備への問い/現代の戦争が想起させる過去の戦争の痕跡/革新軍事評論家の浮上/軍事力と兵器メカニズムから説く「平和主義」/「防衛庁におぼえがめでたくない」雑誌
◆第六章 個別化する「戦争」―一九七〇年代半ば~
下級兵たちが綴る「カッコ悪い死にざま」/「自分史」としての戦記/歴史家、作家、ルポライターの登場/個人の「能力」としての読み替え/自己啓発の素材/「自分史」の逆説/兵器と戦記の同床異夢/モノへの懐古/「いつまでもあきることなくミッドウェー海戦」
◆おわりに
エリート少年の反学校文化/闘争の手段と逆説/異なる立場の包摂/戦死者の情念に基づく「終戦記念日」への違和感/「真相」「真実」への含意/雑誌の「雑」としてのメディア機能
あとがき
注
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著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]佐藤 彰宣(サトウ アキノブ)
佐藤彰宣(さとう・あきのぶ)
1989年兵庫県神戸市生まれ。2017年立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。立命館大学産業社会学部授業担当講師、東亜大学人間科学部講師などを経て、2021年より流通科学大学人間社会学部専任講師。専門は文化社会学、メディア史。
著書に『スポーツ雑誌のメディア史』(勉誠出版)、共著に『「知覧」の誕生』(柏書房)、『趣味とジェンダー』(青弓社)、『近頃なぜか岡本喜八』(みずき書林)などがある。もっと見る
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