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叢書パルマコン01
大衆の強奪
全体主義政治宣伝の心理学
セルゲイ・チャコティン 著 / 佐藤 卓己 訳
内容紹介
ファシスト的公共性を体現した名著を完訳。
反ファシズムの姿勢を貫く側こそ、「敵の手法に学ぶ」必要があるのではないか。そう問いかけて、世界に衝撃を与えた古典を日本語として初めて全訳。著者である心理学者のチャコティンは、ナチズムとの「シンボル闘争」を指揮し、その報告書を含む、本書の1940年英語版(今回の日本語版原本)は、メディア研究・コミュニケーション理論・集団心理学などの基本参考文献として広く認知されている。メディア史家佐藤卓己氏の手になる、浩瀚な「解題」付。
《本書の目次・小見出しは部分》
著者と作品についての一考察――イタリア語二〇一八年版における著作権継承者の解説
初版の序
英語版への序
フランス語改訂版(一九五二年)の序文
★第一章―科学的序論:厳密な科学としての心理学
人間科学/心理学の位置/行動主義/パブロフと条件反射理論/抑制/拡延/大脳機能局在―睡眠―暗示・・・他
★第二章―集団心理学
政治活動/群衆心理―ギュスターヴ・ル・ボン/大衆と群衆/ロシア革命の事例/本能の体系/悪徳―昇華―感情/人間文化の遺産―堕落・・・他
★第三章―闘争本能
闘争/身体的暴力―苦痛/威嚇/恐怖の擬態/恐怖/パニック/戦闘用マスク/制服/グーツ・ステップ/規律/軍楽・・・他
★第四章―シンボリズムと政治プロパガンダ
現代の特徴的シンボリズム/政治シンボル/ファスケス(束桿)―鉤十字/グライヒシャルトゥング/三本矢/図画シンボル/シンボル敬礼・・・他
★第五章―過去の政治プロパガンダ
古代/ギリシャ/ローマ/キリスト教世界/フランス革命/社会主義者の方法/一九一四~一八年の世界大戦・・・他
★第六章―ヒトラーが成功した秘訣
ヒトラー現象とその危険/「五千人」と「五万五千人」の区別/民衆向け感性的プロパガンダと説得のプロパガンダ・・・他
★第七章―ヒトラー主義に対する抵抗運動
最初の一撃/ルーチンと無理解に対する闘争/一九三二年大統領選挙の第二回投票/プロイセン、ヴュッテンベルク、ハンブルクの選挙/ヘッセンでの大勝利/新たな希望と期待はずれ/「指先を握る」計画・・・他
★第八章―世界規模の心理的暴力
その発端/ザール住民投票/ラインラント再武装化/アビシニア戦争/戦争危機の恐喝/スペイン戦争/「総力戦」の思想・・・他
★第九章―行動的社会主義
自由/資本主義の最期/「マルクス主義」の黄昏/国際連盟の権威失墜/似而非平和主義/社会主義の再活性化/再生/生物科学としての政治/実験政治学/道徳要素の組織化/強迫的平和の理想とそのプロパガンダ/集団防衛協定/フランスの役割・・・他
★終章―結論
覚醒/安全保障の状況/人間文化と生物学的健康との拮抗・・・他
解題―「ファシスト的公共性」を体現した古典
英語版・引用文献
人名索引もっと見る
目次
著者と作品についての一考察――イタリア語二〇一八年版における著作権継承者の解説
初版の序
英語版への序
フランス語改訂版(一九五二年)の序文
★第一章―科学的序論:厳密な科学としての心理学
人間科学/心理学の位置/行動主義/パブロフと条件反射理論/抑制/拡延/大脳機能局在―睡眠―暗示/目的反射/自由反射/性格/発話/意識/理論の生物学的基礎/精神のスペクトラム分析/訓練/教育/精神医学/ビジネスの心理学/広報と広告/精神教育
★第二章―集団心理学
政治活動/群衆心理―ギュスターヴ・ル・ボン/大衆と群衆/ロシア革命の事例/本能の体系/悪徳―昇華―感情/人間文化の遺産―堕落/フロイト学派/アドラーの思想/マルクスの教義/キリスト教/偉大な民衆運動の歴史的系譜
★第三章―闘争本能
闘争/身体的暴力―苦痛/威嚇/恐怖の擬態/恐怖/パニック/戦闘用マスク/制服/グーツ・ステップ/規律/軍楽/エクスタシー/熱狂/勇気/心理学と戦争/軍隊心理学
★第四章―シンボリズムと政治プロパガンダ
現代の特徴的シンボリズム/政治シンボル/ファスケス(束桿)―鉤十字/グライヒシャルトゥング/三本矢/図画シンボル/シンボル敬礼/音響シンボル/神話/儀式/宗教的崇拝/ジャーナリズム/政治プロパガンダの鉄則
★第五章―過去の政治プロパガンダ
古代/ギリシャ/ローマ/キリスト教世界/フランス革命/社会主義者の方法/一九一四~一八年の世界大戦/クリューハウスの秘密―宣伝大臣/ロシア革命
★第六章―ヒトラーが成功した秘訣
ヒトラー現象とその危険/「五千人」と「五万五千人」の区別/民衆向け感性的プロパガンダと説得のプロパガンダ/『わが闘争』/ムソリーニ
★第七章―ヒトラー主義に対する抵抗運動
最初の一撃/ルーチンと無理解に対する闘争/一九三二年大統領選挙の第二回投票/プロイセン、ヴュッテンベルク、ハンブルクの選挙/ヘッセンでの大勝利/新たな希望と期待はずれ/「指先を握る」計画/運動の高潮/デモの禁止/七月二十日、「指導者たちのセダン」/半分勝利/その帰結―十一月六日の再敗北/崩壊―ヒトラーの勝利
★第八章―世界規模の心理的暴力
その発端/ザール住民投票/ラインラント再武装化/アビシニア戦争/戦争危機の恐喝/スペイン戦争/「総力戦」の思想/独墺合邦/チェコスロヴァキアへの攻撃/一九三八年九月の危機
★第九章―行動的社会主義
自由/資本主義の最期/「マルクス主義」の黄昏/国際連盟の権威失墜/似而非平和主義/社会主義の再活性化/再生/生物科学としての政治/実験政治学/道徳要素の組織化/強迫的平和の理想とそのプロパガンダ/集団防衛協定/フランスの役割/何を、どうする?/教義/反ファシズムの説得プロパガンダ/建設的プロパガンダ/民衆向け感性的プロパガンダ/フランス革命の神話/同調シンボル/反ファシズム宣伝の技術的組織化に向けた準則
★終章―結論
覚醒/安全保障の状況/人間文化と生物学的健康との拮抗/代償的ペシミズムの思想
解題―「ファシスト的公共性」を体現した古典
英語版・引用文献
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著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]セルゲイ・チャコティン(チャコティン,セルゲイ)
1883年イスタンブール生まれ。父はロシア帝国外交官。1901年モスクワ大学医学部入学後、革命運動に加わり国外追放。02年ミュンヘン大学に入学、ベルリン大学に移りゲオルク・ジンメルの講義など聴講。07年ハイデルベルク大学で博士号取得。12年にパブロフの助手としてサンクトペテルブルク軍事医学アカデミーに招聘される。17年二月革命後メンシェビキに加わり、十月革命後に白衛軍情宣組織OSVAGの責任者に就任。24年レニングラードで著書『組織』刊行。30年ハイデルベルクのカイザー・ヴィレヘム医学研究所客員研究員となる。ドイツ社会民主党の運動に加わり、ミーレンドルフの推挙で共和国防衛組織・国旗団の宣伝を担当。反ファシズムの準軍事組織・鉄戦線のシンボルとして「三本矢」を考案。33年ナチ権力掌握後、デンマークに亡命。34年パリに転居、ソルボンヌの進化研究所に籍を置きつつ社会党革命的左派の運動に参加。39年『大衆の強奪』仏語版刊行、翌年には本書日本語版の原書となる改訂英語版が刊行される。41年独ソ戦開始後ゲシュタポに逮捕され43年釈放、58年のソ連帰国までパリで平和運動に従事。1973年モスクワにて没。[訳]佐藤 卓己(サトウ タクミ)
1960年広島市生まれ。1984年京都大学文学部史学科卒業。86年、同大大学院修士課程修了。87-89年ミュンヘン大学近代史研究所留学。89年京都大学大学院博士課程単位取得退学。東京大学新聞研究所助手、同志社大学文学部助教授、国際日本文化研究センター助教授などを経て、現在、京都大学大学院教育学研究科教授。メディア文化論専攻。著書に、『現代メディア史 新版』『「キング」の時代』『ファシスト的公共性』(共に、岩波書店)、『増補 大衆宣伝の神話』『増補 八月十五日の神話』(共に、ちくま学芸文庫)、『言論統制』(中央公論新社)、『輿論と世論』(新潮選書)、編著に『ヒトラーの呪縛』(中公文庫)、『近代日本のメディア議員』(創元社)などがある。もっと見る
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