海のミュージアム

40億年の軌跡、魅惑的な生き物たちの営み、人と海とのかかわり――海にまつわる科学エッセイに、世界の第一線で活躍する海洋写真家によるベストショット105点が彩りをそえる新しいタイプのビジュアルブック。地球と海の始まりから生命の誕生、豊かな生物多様性と種間の相互関係、未踏の地・深海、人類の資源としての海や創作の中に見る主題としての海、環境保護の未来まで、壮大なストーリーと美しい写真の融合。

イントロダクション――始まりも終わりもない海への旅

テーマⅠ　起源――地球と海の始まり

生命の始まりは？　そこからの道のりは？　私たちの意識を広げ、頭が爆発しそうな長い時間を一気に俯瞰する。海の歴史は地球の始まりへと遡る旅でもあり、そこでの生命のスケールは想像を絶するものだ。

テーマⅡ　関係――プランクトンと海流

海がどのようにしてあらゆる生命を生み出す根本的な要因となったのかを明らかにする。植物プランクトンから始まり、ほとんどの生物が何らかの形で依存している「食物連鎖」を辿ってみよう。

テーマⅢ　野生――グレート・バリア・リーフと生物多様性

海中のさまざまなレベルの生物と、彼らの相互関係に目を向ける。グレート・バリア・リーフから浜辺の潮だまり、豊かな南極海の凍りつくような深部まで、海は驚くほどのつながりを持ち、一方では分かたれている。

テーマⅣ　深海――広大なる人類未踏の世界

ほとんどの大洋は水深200m以上で、そこにはまだ精査されていない広大な場所が広がっている。深海のさまざまな事実を知ると、生命を構成しているものは何かという根本的な考え方が揺らぎ始めてくる。

テーマⅤ　利用――資源としての海

海を育み、生産性と持続可能性を高めるにはどうしたらいいのか？　この章では、人間が海とともに、また海と離れた新しい生き方を始める方法の手掛かりとなる注目すべき生物や人々の活動、科学について紹介する。

テーマⅥ　美女と野獣――文学・音楽・絵画に見る海

海の可能性を巡る想像は、物的世界のみならず芸術の世界にもおよぶ。海への夢や、海は人間にとってどんな意味を持つのかといったことが、文学や音楽、絵画などの創作活動を刺激してきた。

テーマⅦ　水平線の向こう――環境保護と未来の海

最後は、海の彼方に少しだけ目を向ける。海の絶大な資源は人類の、また全生物の未来の根幹に関わっている。しかし、大いに懸念されているのが海の脆弱さだ。人類は搾取から新たな関係へと移行できるのか？

引用句
写真
参考文献

［著］ルイス・ブラックウェル（ブラックウェル，ルイス）
Lewis Blackwell／作家、編集者、クリエイティブ・ディレクター。数多くの講演や展示、著作を手がける。『クリエイティブ・レビュー』誌の編集長を務めた後、世界最大のフォトエージェンシーであるゲッティ イメージズで長年クリエイティブ部門を率いていた。環境保護に関する活動にも取り組んでいる。著書に『Rainforest』『The Life & Love of Trees』『The Life & Love of Cats』『The Life & Love of Dogs』がある。

［訳］千葉 啓恵（チバ ヒロエ）
ちば・ひろえ／翻訳者。東北大学大学院農学研究科修士課程修了。化学会社研究所勤務を経て、現在は自然科学分野の翻訳業に従事している。主な訳書に『グローバル・フィーバー――地球温暖化の症状と対応策』（一灯舎）、『天災と人災――惨事を防ぐ効果的な予防策の経済学』（一灯舎）、『あなたの仕事も人生も一瞬で変える 評判の科学』（中経出版）、『アニマリウム――ようこそ、動物の博物館へ』（翻訳協力、汐文社）など。