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箱庭療法
基礎的研究と実践
木村 晴子 著
内容紹介
箱庭療法の理解を深める基本図書、新装復刊
《箱庭療法の理解を深める基本図書、新装復刊》
箱庭療法は、問題を抱えた子供や大人への有力な治療法として治療現場で活用されている。長きにわたり箱庭療法にたずさわってきた著者が、箱庭療法の成立や発展といった概説から、自身の基礎的研究、臨床体験にいたるまでを詳細にまとめた。治療のみにとどまらず、健康な学生の「自己表現」の手段としての箱庭の応用などの研究成果も収め、箱庭写真や図解、表を豊富に掲載。箱庭療法への理解を深め、それにたずさわる治療者への援助となる一冊。もっと見る
目次
序 河合隼雄
はじめに
【第Ⅰ部 概説】
第1章 箱庭療法とは
第1節 箱庭療法の成立と発展
第2節 箱庭技法の実際
用具/状況設定/導入、制作
第2章 箱庭療法の理論
第1節 カルフの理論
セラピスト―クライエント関係をめぐって/箱庭へのユング心理学の導入
第2節 技法としての箱庭療法の位置づけ
第3節 箱庭療法の特徴
第3章 箱庭療法の実践と課題
第1節 箱庭表現の見かた
系列的理解/統合性/空間配置/テーマ/使われたものの象徴的意味
第2節 箱庭制作における治療的要因
砂(心理的退行による治療効果)/箱(枠:守られた中での自己表出)/内面にあるものの意識化(作品からのフィードバック)/自己表現と美意識の満足
第3節 箱庭療法の研究と今後の課題
箱庭療法の事例的研究/箱庭療法に関する基礎的研究/箱庭療法の今後の課題
【第Ⅱ部 基礎的研究編】
第4章 箱庭表現と制作傾向の分析――発達の視点から――
第1節 問題と目的
第2節 手続きと方法
第3節 結果と考察
測定値による数量的検討/発達段階とテーマおよび表現の特徴/砂の使用
第4節 要約
第5章 箱庭表現とロールシャッハ反応
第1節 問題と目的
第2節 手続きと方法
第3節 結果と考察
使用玩具の数について/制作時間について/砂の使用について/人間の使用について/動物の使用について/植物の使用について/建造物の使用について/乗り物の使用について/使用玩具の種類について/個々の作品より
第4節 要約
第6章 箱庭表現とY-G性格検査
第1節 問題と目的
第2節 手続きと方法
第3節 結果と考察
第4節 要約
第7章 制作者のタイプとの関連
第1節 問題と目的
第2節 ユングのタイプ論
第3節 手続きと方法
第4節 結果と考察
外向・内向/合理・非合理/4つの心理機能に関して
第5節 要約
第8章 箱庭の見かたに関する研究――セラピストの特性との関連――
第1節 問題と目的
第2節 手続きと方法
第3節 結果と考察
被験者の特性による比較/被験者のグルーピングの試み/評定項目による考察/評定用箱庭作品の考察/作品への着目点
第4節 要約
【第Ⅲ部 事例編】
第9章 自閉傾向児の箱庭表現――その固執傾向の意味――
はじめに
第1節 事例の概要
クライエントについて/家族について/治療状況
第2節 治療過程
第1期/第2期/第3期/第4期/第5期/フォローアップ――Y児のその後――
第3節 考察
クライエントに関する診断的側面/変化の過程/Yの事例における箱庭の意味/Yの箱庭にみられるいくつかのシンボルについて/第2の世界への発展について
おわりに
第10章 絵画と箱庭による遺尿症児K子の遊戯治療過程――傷ついた自己像の回復――
はじめに
第1節 事例の概要
クライエントについて/K子をめぐる人びと/治療状況
第2節 治療過程
遊戯治療開始まで/箱庭導入まで/展開・発展・変化の時期/適応期
第3節 考察
おわりに
第11章 多動児の遊戯治療――MBDを疑われた少女のたった1つの箱庭――
はじめに
第1節 事例の概要
クライエントについて/筆者が担当するまで/治療状況
第2節 治療過程
第3節 考察
症状の意味/遊びの展開――出会いから別れまで――/たった1つの箱庭「カネゴンのお墓」
おわりに
第12章 自己理解としての箱庭――2人の女子学生の箱庭世界――
はじめに
第1節 概要
箱庭ルームの開設/制作の状況/制作者AとBについて/フォローアップ
第2節 2人の女子学生の箱庭作り
Aのケース/Aの箱庭表現をめぐって/Bのケース/Bの箱庭表現をめぐって/2人の女子学生の体験レポートより
第3節 その他の考察
箱庭ルーム開設者としてのAとB/箱庭作りの実習をめぐって
おわりに
あとがき
文献
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著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]木村 晴子(キムラ ハルコ)
1948年大阪生まれ。大阪市立大学家政学部児童学科卒業、生活科学部博士課程修了。大阪市立大学学術博士、南山短期大学人間関係科教授を経て、甲南大学文学部人間科学科教授。著書に『心理臨床大事典』(共著、培風館)、『人間関係トレーニング』(共著、ナカニシヤ出版)、『臨床教育心理学』(共著、創元社)、『心理療法』(共著、新曜社)、『臨床心理面接技法2』(共著、誠信書房)などがある。もっと見る
訂正のお知らせ
2019年3月刊行の『箱庭療法』に誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。
訂正内容は以下のとおりです。
■p.49 図4-1、右列上より3番目の円グラフ
誤)発達障害児
正)発達遅滞児
■p.75 表4-12、表右列、「大」群
誤)M>F
正)M<F
お客様の声
箱庭療法
投稿者 匿名 / 投稿日 2024/03/04
箱庭療法の実践を始めるに当たり、購入しました。概要から実践、事例まで幅広く記載されており、初学者でも分かりやすい内容でした。特に、第3章第2節の治療的要因の説明では、自由度が高い遊戯療法とは異なることが良く理解できました。砂を使用する意図を知り、クライエントを守る役割を果たす箱があることで、箱庭が成立することがよくわかりました。第9章の自閉症児の箱庭表現では、同じような作品を作り続けてもそれを受け止め続けることは、並大抵のものではないと推察します。一方で、カウンセリングにおいても毎回同じような悩みを話されるクライエントがいても、クライエントにとっては大きな意味を持っているのではないかと思います。そのようにクライエント主体でセラピーにも関わることができるようになりたいと感じることができた書籍でした。
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