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叢書パルマコン・ミクロス04
心理療法の精神史
山竹 伸二 著
内容紹介
心の治療が持つ意味を再考する心理療法史
「心が治るとは、どういうことか」
心理療法(サイコセラピー)の
全史を追跡しながら、
そこに共通する人間性と治癒の本質を
「自由と承認の葛藤」の中に見る。
古代の呪術的治療から、
精神分析、認知行動療法、
ナラティヴ・セラピー、
オープンダイアローグなど
最前線の心理療法までを俯瞰し、
背景にある哲学・思想との関連から
鮮やかに描き出す
〈心の治療が持つ意味を再考する
心理療法史〉。
[図版多数]
*********
「おわりに」より
多様な心理療法の理論を
歴史に沿って丹念に調べていくと、
その背景にある社会の特質、
人間の精神のかたちが見えてくる。
それは、私たちが何を怖れ、
何を求めて生きているのか、
そうした人間性の本質
とも言うべきものを示している。
心理療法の歴史は人間が
どのような存在であるのかを映し出した、
壮大な精神の歴史に他ならない。
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目次
はじめに
■第1部 心理療法史の全体像
◆第1章 古代から近代までの心理療法史
古代の呪術とシャーマニズム/原始的心理治療の共通性/儀式の生み出す象徴効果/寺院の医学と民間医学/哲学と精神修養技術/中世ヨーロッパの宗教的治療/悪魔祓いから催眠術へ/無意識の発見/ジャネの治療論
◆第2章 精神医学と臨床心理学の歴史
近代精神医学の夜明け/自由か、それとも社会への適応か?/身体論と心理論の対立/記述精神医学と現象学的精神病理学/身体療法の展開――インスリン療法、電気痙攣療法、ロボトミー手術/薬物療法と力動精神医学/臨床心理学の挑戦/心理療法の開発と新展開/理論対立の歴史/統合の時代へ向かうのか?
■第2部 現代心理療法の多様な展開
◆第3章 無意識へのアプローチ――精神分析の歴史
精神分析の誕生/フロイトの自己分析/無意識と不安の防衛/終わりある分析と終わりなき分析/精神分析の発展と晩年のフロイト/アドラーと個人心理学/ユングと分析心理学/新フロイト派――ホーナイ、サリヴァン
◆第4章 フロイト以後の精神分析
アンナ・フロイトとメラニー・クライン/対象関係論の展開――ビオン、ウィニコット/理論的統合と自己心理学――カーンバーグとコフート/間主観的アプローチと構成主義/関係精神分析の登場――広まる治療関係の重視/ラカン派の精神分析/精神分析はどこへ向かうのか?/「無意識の自覚」に治療効果はあるのか?
◆第5章 実証科学からの挑戦――認知行動療法の展開
二〇世紀後半の動向/認知行動的アプローチ/行動主義と学習理論/行動療法の誕生――アイゼンクとウォルピ/スキナーと強化の理論/心理学における認知革命/認知療法と行動療法の統合/新世代の認知行動療法――マインドフルネスの導入/変化か、それとも受容(アクセプタンス)か?/なぜ同じ思考と行動が繰り返されるのか?/構成主義と関係論の視点/認知行動療法は自由をもたらすのか?
◆第6章 実存を問う心理療法
実存主義的セラピーの登場/実存哲学の影響/カウンターカルチャーと人間性心理学/東洋思想とトランスパーソナル心理学/ロジャーズと来談者中心療法/フォーカシングと体験過程/パーソンセンタード・アプローチから感情焦点化療法へ/フランクルとロゴセラピー/人間性心理学の問題点/実存主義的セラピーの可能性――ハイデガー哲学からの再考
◆第7章 心理療法の最前線――家族療法から構成主義のセラピーへ
対人関係に焦点を当てた第四の潮流/家族療法とシステム論/コミュニケーション派の家族療法/広まる構成主義の影響/オープンダイアローグ/ナラティヴ・セラピー/家族関係か、治療関係か/ポストモダンの影響/構成主義的セラピーの問題点
■第3部 心理療法はどこへ向かうのか?
◆第8章 理論対立から統合へ
理論対立の歴史/心理療法のエヴィデンス/どの技法でも効果は同じなのか?/心理療法の共通要因/心理療法の統合への動向/人間像の違いがもたらすもの/人間性の本質とは?――現象学の視点から考える
◆第9章 心理療法とは何か?
なぜ「無意識」を解釈するのか?/精神分析の本質/「本当の自分」を発見するセラピー/認知行動療法に「気づき」は必要か?/なぜ関係論、構成主義が広まりつつあるのか?/自由に生きるための心理療法
◆第10章 現代社会と心理療法の未来
心理療法の歴史的な意味/パラダイムシフトを起こした精神分析/セラピストに権威は必要か?/近代社会に生じた「自由と承認の葛藤」/自由とは何か?――ヘーゲルの自由論/よい「治療関係」とは何か?/自由と承認の得られるセラピーへ/心理療法の未来
おわりに
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著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]山竹 伸二(ヤマタケ シンジ)
山竹伸二(やまたけ・しんじ)
1965年、広島県生まれ。学術系出版社の編集者を経て、心理学、哲学の分野で批評活動を展開。評論家。同志社大学赤ちゃん学研究センター嘱託研究員、桜美林大学非常勤講師。現代社会における心の病と、心理療法の原理、および看護や保育、介護などのケアの原理について、現象学的な視点から捉え直す作業を続けている。おもな著書に『「認められたい」の正体』(講談社現代新書)、『「本当の自分」の現象学』(NHKブックス)、『不安時代を生きる哲学』(朝日新聞出版)、『本当にわかる哲学』(日本実業出版社)、『子育ての哲学』(ちくま新書)、『心理療法という謎』(河出ブックス)、『こころの病に挑んだ知の巨人』(ちくま新書)、『ひとはなぜ「認められたい」のか』(ちくま新書)、『共感の正体』(河出書房新社)など。もっと見る
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2023/11/22 「シンリンラボ」書評掲載
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