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アカデミア叢書

自我体験とは何か

私が〈私〉に出会うということ


高石 恭子 著

単行本 ¥4,180

刊行年月日:2020/03/13
ISBN:978-4-422-11649-5
定価:4,180円(税込)
判型:A5判 218mm
造本:上製
頁数:328頁

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内容紹介

私は〈私〉といつ、どこで出会うのか

人は3度生まれる。母体から出てきたとき。言葉の世界に参入したとき。〈私〉という主体を発見したとき。本書は、40年近くにわたって行われた3度目の誕生「自我体験」をめぐる心理学的探究の記録である。作家や研究者の自伝的著作、児童文学作品、子どもから若い成人期の人々に実施した質問紙調査への回答と記述を主な素材とし、私と〈私〉はいつ、どのように出会い、個々人の人生にどのような影響を与えるのか、解明を試みる。
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目次

まえがき

序 章 私が〈私〉に出会うということ
  1.内的世界のコペルニクス的転回
  2.〈私〉との出会いの体験を探究することの意義
  3.本書の目的と構成
     
第1章 自我体験とは何か
 第1節 過去の研究の概観
  1.自我体験という主題の誕生
  2.日米における自我体験研究の萌芽と再発見
  3.新たな科学の潮流と自我体験研究への影響
  4.近年の自我体験研究の展開
  5.日米とヨーロッパにおける自我体験研究の現在点
 第2節 自我体験の概念的規定
  1.自我・自己・私
  2.各研究者における自我体験の定義
  3.現在の状況と解決すべき課題
 第3節 自我体験研究の方法
  1.実証的研究
  2.質的研究
  3.その他の方法と今後の可能性
 第4節 ライフサイクル上の現象としての自我体験
      
第2章 子ども~前思春期の自我体験
 第1節 自我体験を可能にする自我発達の段階
  1.自我体験の記憶はどこまで遡れるか
  2.幼児期の私秘的自己の発達と自我体験
  3.児童期~前思春期の自我発達の節目:過去の研究と臨床的知見
 第2節 児童期~前思春期の自我体験:小学生の調査から
  1.自我体験からみた小学校中学年(9~10歳頃)の特徴
  2.調査対象と方法
  3.結果と考察
  4.本節のまとめと課題
 第3節 自我体験と風景構成法:小学生の調査から
  1.風景構成法からみた主観的体験様式の変化
  2.調査対象と方法
  3.結果と考察
  4.本節のまとめと課題
 第4節 児童文学の中の自我体験
  1.自伝的作品に描かれた子ども時代の自我体験
  2.絵本に描かれた子どもの自我体験
 第5節 自我体験と想像上の仲間(Imaginary Companion)
  1.過去の研究から
  2.児童文学に描かれたもう一人の〈私〉
 第6節 本章のまとめ

第3章 思春期・青年期の自我体験
第1節 自我体験とアイデンティティ
  1.初期のアイデンティティ研究が目指したこと
  2.アイデンティティ研究の展開と自我体験への近接
 第2節 思春期・青年期の自我体験:中高生の調査から
  1.中学生・高校生に想起される自我体験と危機
2.調査対象と方法
3.結果と考察
  4.本節のまとめと課題
第3節 自我体験と自我発達段階:中高生の調査から
  1.思春期・青年期の自我発達段階と自我体験度との関係
  2.調査対象と方法
  3.結果と考察
  4.本節のまとめと課題
 第4節 自我体験と離人体験
  1.離人体験としての自我体験と危機・病理との関連
  2.自我体験のもつ「分離」と「結合」のダイナミズム
 第5節 本章のまとめ  
 
第4章 成人期以降の自我体験
 第1節 青年後期から若い成人期に想起された自我体験:大学生の調査から
  1.大学生が想起する自我体験の特徴
  2.調査対象と方法
  3.結果と考察
  4.本節のまとめと課題
 第2節 中年期以降の自我体験
  1.中年期を対象とした研究の概観
  2.老年期の自我体験
 第3節 自伝的記憶と自我体験
  1.自伝的記憶のさまざまな定義
  2.ヴィジョンとしての自我体験
  3.過去の自我体験を想起することの意味
 第4節 本章のまとめ

第5章 多元的自己の時代の自我体験
 第1節 ポスト近代の心の構造の変容
  1.心理療法論から
  2.実証的研究から
 第2節 21世紀の現代における自我体験:中高生の調査から
  1.多元的自己の時代における思春期・青年期の自我体験
  2.調査対象と方法
  3.結果と考察
  4.本節のまとめと課題
 第3節 変わる自我、変わらない自我
  1.自我体験の様相から見える私と〈私〉のあり方の変化
  2.風景構成法の構成型から見える自我のあり方の変化
 第4節 本章のまとめ

終章  自我体験研究の今後の課題と可能性
 第1節 ライフサイクルを通してみた自我体験
 第2節 今後の課題と心理臨床実践に向けた可能性


引用文献
索引
あとがき

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著者紹介

[著]高石 恭子(タカイシ キョウコ)
高石恭子(たかいし・きょうこ)
1960年神戸市生まれ。甲南大学文学部教授・学生相談室専任カウンセラー。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程満期退学、京都大学博士(教育学)。臨床心理士、公認心理師。母子療育教室セラピスト、精神科病院の心理士等を経て現職。専門は臨床心理学。乳幼児期から青年期の親子関係や子育て支援の研究も行う。
主な著書に『働くママと子どもの〈ほどよい距離〉のとり方』(編著、柘植書房新社、2016年)、『子別れのための子育て』(編著、平凡社、2012年)、『学生相談と発達障害』(編著、学苑社、2012年)、『臨床心理士の子育て相談』(人文書院、2010年)、『〈私〉という謎』(共著、新曜社、2004年)、訳書に『子どもの自我体験(D.コーンスタム)』(共訳、金子書房、2016年)、『母親が女性になるとき(H.レーナー)』(誠信書房、2001年)など多数

※著者紹介は書籍刊行時のものです。
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