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フォーカシング指向心理療法の基礎
カウンセリングの場におけるフェルトセンスの活用
内田 利広 著
内容紹介
何を感じ、何を聴こうとしているのか
国家資格・公認心理師が誕生し、より一般普遍的なカウンセリングの方法が求められている今、ロジャーズのカウンセリング理論(自己一致、共感的理解、肯定的関与)から発展したフォーカシングをベースとした心理療法は、日本のカウンセリングにおける共通基盤としての実践理論にもなりうると考えられる。本書では、基礎や専門用語を解説したうえで、実際の臨床場面での実践、プロセスを、具体的な事例に即して丁寧に示す。もっと見る
目次
はじめに
第1章 フォーカシング指向心理療法の起源
1.フォーカシング
1)フォーカシングとは
2)フェルトセンスについて
3)ジェンドリンの人格変化論
(1)抑圧モデルと内容モデルをめぐって
(2)体験過程
4)暗々裡の体験とリファー
5)フォーカシングのステップ
2.ロジャーズとジェンドリンの体験論
1)ロジャーズにおける体験と自己
2)ロジャーズからジェンドリンへの発展
3)自己一致に関する一考察
(1)20代女性:Aのエピソード
(2)Aの自己概念と体験:不一致をめぐって
(3)Aの不一致から一致へのフォーカシング的変化
3.対話におけるフォーカシングの位置づけ
1)「方法としてのフォーカシング」と「現象としてのフォーカシング」
2)フェルトセンスによる体験的一歩
第2章 フォーカシングにおける傾聴と共感のエッセンス
1.傾聴とクライエントのフェルトセンス
1)フェルトセンスの触知
2)クライエントの語りの理解:体験過程とEXPスケール
3)クライエントの語りに含まれる暗々裡の意味と構造拘束
2.共感とセラピストのフェルトセンス
1)セラピストの腑に落ちる理解:納得
2)追体験
3)共感と尋ねること
3.対話におけるフェルトセンスの機能
1)生きているフェルトセンス
2)フェルトセンスの相互性と「間」
3)対話における交差
4.セラピストの視点と聴き方
1)伝え返し(傾聴):微妙なそれぞれの雰囲気を聴き取り確認すること
2)「そこにある何か」を作り出すための応答
3)フェルトセンスを呼び出し、意識を向ける
4)抵抗について
5)フェルトセンスを触知し、友好的態度で関わること
6)面接場面でポイントになるクライエント・セラピストの発言・態度
第3章 面接場面におけるフェルトセンスの触知とセラピストの伝え返し
1.クライエントの概要
2.面接場面における具体的な応答
1)面接初期のころの対話:エピソード0
2)面接後期の対話:身体感覚の触知
3)その後のエピソード
3.面接におけるセラピストの基本的な態度・関わり
1)安全な関係作り
2)身体感覚に注意を向け、フェルトセンスを誘う
3)「そこにある何か」を触知し関わる
4)言葉にしたことによる影響・変化と体験的一歩
第4章 フェルトセンスに着目した面接プロセス
1.「我慢する」という心のあり様と体験過程
2.クライエントの概要
3.面接過程
1)初期:構造拘束的な体験様式と身体症状
2)中期:フェルトセンスの触知
3)後期:フェルトセンスの象徴化とセラピストとの交差
4.面接を振り返って
1)「我慢」と相互作用の欠如
2)構造拘束と抑うつ
3)交流を失ったフェルトセンス(身体症状)への関わり
4)フォーカシング指向心理療法の面接プロセス
第5章 フォーカシング指向心理療法 Q&A
Q1 フェルトセンスとそうでない身体の感じとは、どのように見分けるのか。
Q2 クライエントの見立てはどのように行うのか。
Q3 対話においてセラピストは、クライエントのフェルトセンスをどのように感じ取れるのか。
Q4 クライエントがフェルトセンスを感じられないときは、どのようにするのか。
Q5 フェルトセンスに触れて、それを言葉にすることで、クライエントがしんどくなることはないのか。
Q6 セラピストとクライエントの関係は、どのように影響するのか。
Q7 面接に行き詰まったときには、どのようにするのか。
Q8 セラピストのフェルトセンスは、どのように活用できるのか。
Q9 子どもに対してこの方法は使えるのか。
Q10 フォーカシング指向心理療法を学ぶには、どのようにしたらよいか。
用語解説
インプライング (implying)/構造拘束 (structure bound)/再構成化 (reconstituting)/「自己過程 (self-process)」および「自己」/実現傾向 (actualizing tendency)/純粋性 (genuineness)/体験過程の様式 (manner)/フェルトシフト (felt shift)/フォーカシング的態度/リファー (refer)
おわりに
文献
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著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]内田 利広(ウチダ トシヒロ)
内田利広(うちだ・としひろ)
1993年、九州大学大学院博士後期課程単位取得後退学。博士(心理学)。臨床心理士。公認心理師。龍谷大学教授、京都教育大学名誉教授。専門は教育臨床心理学。所属学会は日本人間性心理学会、日本心理臨床学会、日本家族心理学会、日本フォーカシング協会など。現在、日本フォーカシング協会会長。
著書は『学校カウンセリング入門』『学校カウンセリングの理論と実践』『臨床心理学への招待(第2版)』(いずれも共著、ミネルヴァ書房)、『生徒指導と教育相談』『スクールカウンセラーの第一歩』『人間性心理学ハンドブック』(いずれも共著、創元社)、『期待とあきらめの心理』(創元社)、『母と娘の心理臨床』(金子書房)など。もっと見る
お客様の声
わかりやすく優しいおことばだからこそ、実践がちっとも易しくないと証明した素敵な感受関成な御本!!
投稿者 小松藍生 / 投稿日 2023/10/14
最近、フォーカサ―を依頼されることもあり、フォーカシングも実践も学習中
龍谷大学 内田利広先生の『フォーカシング指向心理療法の基礎 - カウンセリングの場におけるフェルトセンスの活用-(創元社)』をようやく拝読し終えた
読み終わった瞬間、
「なんてわかりやすいことばで書かれているんだろう・・。だからこそ、実践の難しさをより痛感したなぁ・・。」
って想いがあふれあふれ・・・
「指向」ということばをなぜ使われたのかを改めて、お伺いしたいかな(#^^#)
この御本の最後の章「おわりに」まで、しっかり読んでほしい( ◠‿◠ )
この先生の人とやさしさがにじみ出ている気がしているから
その一文をこちらにて、引用いたします。
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そう。ここでさらに別の感覚が湧き、「私はフォーカシングが好きなのです。」という言葉が浮かんできた。
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実際の事例も、その際、内田先生が何を感じ、何を聴こうとしていたのかもきめ細やかに書かれており素敵✨✨
先生ご本人は「〇〇の書き方がなっていなかった・・・どう書き直そうか、、」といったこともつぶやいておられましたが(;^ω^)
「五感」「日常」「体感・実感」「暗黙裡と言語化の関わり」
「はっきりしない気持ち・その表現を日本語は具体化もしつつ、語りやすくもしてくれる」
知識を身に着けることも大切だけれど、基本的に専門家も日常に五感を活かす必要性をうたってくださっている、わずか170ページ弱の快挙のような文のお声
ぜひご一読あれ、にございます。
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