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「市」に立つ
定期市の民俗誌
山本 志乃 著
内容紹介
市には、社会を生き抜くための知恵がある
海から、山から、里から、それぞれの産物を持ち寄って売り買いする定期市は、小商いの原点である。しかし市は、ただモノを売買する場ではない。売り手と買い手が一対一で顔を付き合わせ、互いに慮る場であり、金銭とは別の価値基準がある。そこにはこれからの社会を生き抜くための知恵がある。民俗学者として30年にわたり各地の市を見つめ続けてきた著者が、丹念なフィールドワークにより市に集う人々の営みとその意味を読み解く。もっと見る
目次
はじめに 市の立つ風景をさがして
第1章 市稼ぎの日記――房総の畑から
大多喜の五・十の市/朝市のいわれ/之子さんの日記/昭和四十二年/変わりゆく仕事/市稼ぎへの選択/野菜から加工品へ/正月飾り/市に行くからおかずがある
第2章 日本一のストリート・マーケット――土佐の日曜市
日曜市の朝/三〇〇年の歴史/市を支えるしくみ/市役所の街路市係/終戦のころ/観光客がやってきた/日曜市のうた
第3章 〝いごっそう〟の商売哲学――街路市の名物翁に学ぶ
サカキとシキビ/親子二代で六十年/シキビをまつる習慣/シキビの流通/山主と切り子/薄利多売がモットー/三十円のおばあちゃん/カミ、ホトケは見ゆう
第4章 市回りの歳時記――女川のコンブヤさん
古川の八百屋市/市を回って五十年/仙北地方の互市/山形の初市/市回りの一年/被災、そして再出発
第5章 震災を越えて――気仙沼の朝市
「気仙沼方式」/イチからマチへ/オイルショックのころ/振り売りから朝市へ/3・11/復興への道/朝市の笑い声
第6章 転生する朝市――小さな「見世」からの発信
野根キッチンのこけら寿司(高知県・東洋町)/「鬼嫁」たちの三八市(鳥取県・湯梨浜町松崎)/全国朝市サミット協議会
おわりに 市の風にあたる
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著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]山本 志乃(ヤマモト シノ)
1965年鳥取県生まれ。旅の文化研究所主任研究員。博士(文学)。法政大学非常勤講師。民俗学専攻。定期市や行商に携わる人たちの生活誌、庶民の信仰の旅、女性の旅などについて調査研究を行っている。著書に『女の旅――幕末維新から明治期の11人』(中公新書)、『行商列車――〈カンカン部隊〉を追いかけて』(第42回交通図書賞(歴史部門)受賞)、『日本の民俗3 物と人の交流』(吉川弘文館・共著)、『落語にみる江戸の食文化』(河出書房新社・共著)、『絵図に見る伊勢参り』(河出書房新社・共著)、『乾杯の文化史』(ドメス出版・共著)などがある。もっと見る
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