京都名所むかし案内

江戸時代の大ヒット旅行書シリーズ「都名所図会」を中心に「拾遺都名所図会」「都林泉名勝図会」などから京都名所と名場面を厳選し、絵ときスタイルという独自の趣向で古今の習俗や人間模様を活写する案内書。現代も多くの観光客を集める有名な寺社や山・川の名所のほか、名物・土産物、祭りや歳時記も題材にし、江戸期の京都と現代をつなぐ生活文化や歴史・地理がわかる全36景の名所が登場。好評「名所むかし案内」シリーズ第３弾。

●前口上　京都名所の百科全書、古都の旅がここからはじまる
●第一章　社寺祭礼は都の華
第一景　清水寺「江戸時代、あの舞台から飛び下りた人々」
第二景　東寺「浮世草子に見る江戸時代の東寺と京都」
第三景　金閣寺「西園寺から金閣寺へ、山荘美の系譜」
第四景　北野天満宮「北野と菅原道真を結んだ深い縁とは」
　閑話一　都の本山づくし――その数、百三十余
第五景　賀茂の競馬と葵祭「江戸時代、葵祭より競馬に人気」
第六景　祇園社・祇園祭「江戸時代の祇園祭、主役は牛頭天王」
第七景　今宮社・やすらい祭り「やすらい花よと囃すのは、なぜ」
第八景　壬生寺・壬生狂言「壬生狂言、江戸時代に演じられた二十五曲とは」
　閑話二　三十三間堂が江戸にも――名所、都市間を伝播
第九景　仁和寺・桜「桜を花の王にした宇多法皇」
第十景　花の寺・西行桜「世阿弥が誘う西行桜の花の寺」
第十一景　醍醐寺・花見山「秀吉、千畳敷きの大花見の宴」
第十二景　神護寺・紅葉「錦織りなす紅葉の名所」
　閑話三　桜か紅葉か――江戸時代の春秋問答
●第二章　京の御土産話
第一景　西陣呉服「応仁の乱のあと、西陣と東陣のもうひとつの争い」
第二景　清水焼「清水三年坂の登り窯に立つ煙」
第三景　大仏と大仏餅「大仏の寺の門前、餅でもつ」
第四景　御影堂の京扇子「江戸時代、京土産といえば京扇子だった」
　閑話四　京のカピタン――祇園二軒茶屋で遊ぶ
第五景　三条の宿屋「東海道五十三次の旅人を迎える京の玄関」
第六景　竹田街道「牛車専用の道あり。夏は牛をいたわり、夜に行く」
第七景　夏の踊り「踊る人々、祈る人々、見物する人々」
第八景　壬生菜「馬琴が記した京にて味よきもの」
　閑話五　島原遊廓――命名由来は島原の乱
●第三章　水の遊宴
第一景　神泉宛「江戸時代人が見た平安京の宴のあと」
第二景　四条大橋夕涼み「屏風絵になく、名所絵にあるもの」
第三景　生け洲「高瀬川の名物料亭繁盛記」
第四景　広沢池「宮廷の秋をしのぶ観月の宴」
　閑話六　京の名水――味と故事で水も名所
第五景　伏見指月「指月屋敷で秀吉が見た月と栄華」
第六景　淀の水車「淀城の運命とともに回る水車」
第七景　宇治川「歌枕の地、転じて水が育む名物の里」
第八景　井手の玉川「汀の山吹、名所六つ玉川に数えられ」
　閑話七　大堰川の扇網漁――俯瞰とクローズアップで
●第四章　山城の山
第一景　比叡山・延暦寺「都の富士と歌に詠まれた偉容」
第二景　愛宕山・愛宕社「京第一の高山にして鬼住む山」
第三景　鞍馬山・鞍馬寺「『枕草子』が記した、近うて遠き鞍馬の山道」
第四景　北白川・石切り場「白川石・白川女のふる里」
　閑話八　京都三山――北山・東山・西山の山々
第五景　男山・石清水八幡「神をまつりながら寺でもある宮寺の山」
第六景　如意カ岳・送り火「大文字、慶長年間から夏の名物に」
第七景　北山杉の里「都をめざす北山杉の川流し風景」
第八景　大悲山・乳岩「京の北の深山幽谷、乳岩明神を見た」
　閑話九　山ならぬ山――京都五山
●あとがき
●参考文献
●現在地一覧
●さくいん

［著］本渡 章（ホンド アキラ）