心理臨床とセラピストの人生

心理臨床とは、クライエントがセラピストと出会い、自らが抱えている問題と向き合う作業である。二人の人間が出会うことによって、臨床の場では、クライエントだけでなくセラピスト自身も大きな影響を与え、また受けることになる。本書の著者のほとんどは、いったん社会に出て活躍した後に臨床心理学を学び直し、志を立ててセラピストになった人たちで、本書は、これまで語られることのなかった臨床におけるセラピストの人生の影響について語った希有な事例集である。

はしがき──心理臨床とセラピストの人生　　大村哲夫

I　子ども　
　第1章　非行臨床と私―ある家庭裁判所調査官の事例研究　　室城隆之
　第2章　警察の少年補導職員から心理臨床家へ──「聞く」ということ　　今井由樹子
　第3章　「児童福祉」における心理臨床──児童心理司だからできることを模索して　　高浪恵介

II　学校･会社
　第4章　教育と心理の往還──教師が心理臨床の眼を持つとき　　佐藤雅明
　第5章　学生と共に歩む心理臨床──学生相談とボランティア活動　　木村佐枝子
　第6章　会社員から臨床心理士へ──産業臨床における葛藤とやりがい　　高田俊博

III　女性　　
　第7章　カウンセラーの存在──自分らしく生きていくために　　平井理心
　第8章　闇に一条の光射す──希望についての一考察　　宮原亮子
　第9章　さまざまな「母」との出会い──保護者面接と面接契約　　酒井奈生

IV　身体
　第10章　心身症と私──身体症状は魂からのメッセージ　　名合雅美
　第11章　小児医療と心理臨床──あらためて、そのパラダイムの相違と統合　　平竹晋也
　第12章　死にゆく人と出会う──在宅緩和ケアにおける心理臨床　　大村哲夫

V　心理臨床と生きるということ
　第13章　私の半生──心理臨床と教育と　　滝口俊子

　　あとがき　佐藤雅明

［監修］滝口 俊子（タキグチ トシコ）
監修者紹介

滝口俊子（たきぐち・としこ）
東京都出身。立教大学大学院文学研究科（心理学専攻）修了。
臨床心理士。慶應義塾大学医学部神経科入局。立教女学院短期大学教授・京都文教大学教授・放送大学大学院教授を経て、現在、放送大学名誉教授。

［編著］大村 哲夫（オホムラ テツヲ）
編者紹介

大村哲夫（おほむら・てつを）
東京都出身。信州大学応用動物学及び生態学講座卒業。放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士（学術）。東北大学大学院文学研究科人間科学専攻修了、博士（文学）。臨床心理士。民間企業を経て高等学校教員、医療法人社団爽秋会臨床心理士兼チャプレンを経て、現在、東北大学非常勤講師、同大学院文学研究科専門研究員。

［編著］佐藤 雅明（サトウ マサアキ）
佐藤雅明（さとう・まさあき）
秋田県出身。専修大学文学部国文学科卒業。埼玉大学大学院教育学研究科内地留学。放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士（学術）。臨床心理士。埼玉県高等学校教諭。

［著］今井 由樹子（イマイ ユキコ）
今井由樹子（いまい・ゆきこ）
静岡県出身。静岡大学教育学部小学校教員養成課程音楽科卒業。放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士（学術）。臨床心理士。少年警察補導員を経て、現在、常葉大学・大学院非常勤講師、常葉大学臨床心理教育実践センター専門相談員、 スクール・カウンセラーなど。

［著］木村 佐枝子（キムラ サエコ）
木村佐枝子（きむら・さえこ）
長崎県出身。佛教大学社会学部社会福祉学科卒業。放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士（学術）。神戸学院大学大学院人間文化学研究科人間行動論専攻修了、博士（人間文化学）。臨床心理士。京都外国語大学学生相談室インテーカーを経て、現在、常葉大学健康プロデュース学部心身マネジメント学科准教授、同大学院健康科学研究科臨床心理学専攻准教授。

［著］酒井 奈生（サカイ ナオ）
酒井奈生（さかい・なお）
広島県出身。広島大学学校教育学部小学校教員養成課程卒業。
広島大学大学院学校教育研究科修了（教育学修士）。放送大学大学院文化科学研究科文臨床心理プログラム修了、修士（学
術）。臨床心理士、学校心理士、産業カウンセラー。現在、早稲田大学保健センター心理相談員、東京都スクールカウンセラーなど。

［著］高田 俊博（タカタ トシヒロ）
高田俊博（たかだ・としひろ）
兵庫県出身。早稲田大学理工学部卒業。放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士（学術）。臨床心理士、シニア産業カウンセラー。東京海上日動火災保険株式会EAP室に勤務。

［著］高浪 恵介（タカナミ ケイスケ）
高浪恵介（たかなみ・けいすけ）
埼玉県出身。東京国際大学教養学部人間関係学科卒業。放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士（学術）。臨床心理士。埼玉県児童相談所児童心理司。

［著］名合 雅美（ナゴウ マサミ）
名合雅美（なごう・まさみ）
岡山県出身。大阪教育大学教育学部教員養成課程卒業。同大阪教育大学大学院教育学研究科修了、修士（教育学）。放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士（学術）。臨床心理士。京都大学医学部付属病院総診療部、医真会八尾総合病院を経て、現在、医療法人弘清会四ツ橋診療所、うえつき小児科アレルギー科に勤務。

［著］平井 理心（ヒライ ココロ）
平井理心（ひらい・こころ）
徳島県出身。筑波大学第二学群人間学類（心理学専攻）卒業。
放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士（学術）。臨床心理士。徳島県女性支援センター（女性支援相談員）を経て、現在、筑波大学附属病院（医療メディエーター）、心療内科フォレストクリニック（心理カウンセラー）に勤務。

［著］平竹 晋也（ヒラタケ シンヤ）
平竹晋也（ひらたけ・しんや）
京都市出身。三重大学医学部卒業、博士（医学）。放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士（学術）。医師、臨床心理士。独立行政法人国立病院機構滋賀病院小児科医長、京都府丹後保健所担当係長、第二岡本総合病院小児科部長などを歴任、梅花女子大学現代人間学部心理学科准教授を経て、平成二二年京都市左京区にひらたけこどもクリニック開業。現在、同院院長、並びに、京都府立医科大学小児科客員講師。

［著］宮原 亮子（ミヤハラ リョウコ）
宮原亮子（みやはら・りょうこ）
東京都出身。早稲田大学第一文学部卒業。放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士（学術）。臨床心理士、臨床発達心理士。精神科臨床心理士、福祉センター心理士、スクールカウンセラー等を経て、現在、常勤の心理職員。

［著］室城 隆之（ムロキ タカユキ）
室城隆之（むろき・たかゆき）
東京都出身。上智大学法学部法律学科、佛教大学通信教育部社会学部社会福祉学科卒業。放送大学大学院文化科学研究科臨床心理プログラム修了、修士( 学術)。東京成徳大学大学院心理学研究科臨床心理学専攻博士後期課程修了、博士（心理学）。臨床心理士。国際交流分析協会准教授会員（心理療法分野）。日本集団精神療法学会認定グループ・セラピスト兼スーパーバイザー。三菱重工業株式会社神戸造船所勤務を経て、一九八七年四月から家庭裁判所調査官として勤務。現在、岡山家庭裁判所主任家庭裁判所調査官。