- クリック立ち読み
-
すべてが武器になる
文化としての〈戦争〉と〈軍事〉
石川 明人 著
内容紹介
なぜ戦争文化論が必要なのかがよくわかる!
「日本刀は武器なのか芸術品なのか?」といった問いに向き合わず、武器=破壊=悪/文化=創造=善という二項対立を声高に唱えてきた敗戦国日本。しかし、その単純な二項対立は、特殊な現代日本イデオロギーにしか過ぎないことが鮮明になりつつある。本書は、武器と文化の不可分な関係をあらゆる時代や事象から、面白くかつ説得的に述べることで、新時代に必要とされる戦争論や軍事論の基礎的な知識を提供する、戦争文化論である。もっと見る
目次
◆序章 芸術的、宗教的、象徴的――武器へのまなざし
武器は人を惹きつける/三島由紀夫とF104戦闘機/芸術としての武器/宗教における「武器」/慰霊と武器/武器はステータスでもある/海軍士官の短剣/武器とは何か、何が武器なのか?/イギリス軍のカーペットレイヤー/はしごと鉄条網/ヘルメット、腕時計/音楽、映画、ボールペン/どんなものでも武器と認識できる/「武器」「兵器」という日本語/武器の定義について
◆第1章 動物、健康、保存食――生きている武器たち
武器・兵器としての動物/毒ヘビ、ウイルス、ハト/戦場の犬たち/さまざまな軍用犬/地雷犬、パラシュート犬/戦争を支えてきた馬/第二次大戦時、800万頭の軍馬/ロバ、牛、象/戦争に一番必要なのは「健康」/兵士のための栄養と消毒/「痛み」を消すという夢/ヴォランタリズムとミリタリズム/ナイチンゲールの活動/戦争のための看護と医学/食べ物と補給/軍隊の行動範囲を広げた保存食/食品を密封する技術/缶詰の登場と普及/アメリカ陸軍の保存食研究/急速冷凍技術の普及/戦争を支えた食事
◆第2章 鉄道、飛行機、カメラ――組み合わせて武器にする
軍事に貢献した鉄道/鉄道が大量の兵士を運ぶ/装甲列車と列車砲/戦争大規模化の一因としての鉄道/鉄道と関連する技術/飛行機の登場/戦争による飛行機の発展/空中での戦いの始まり/空から宇宙へ/すぐに軍事利用された気球/飛行機の時代へ/飛行機を構成するさまざまな部品/ゴム、アルミ合金/透明な樹脂とナイロン/飛行機を前提とした焼夷弾/機銃を飛行機に搭載するための工夫/新たに求められた照準器/飛行機からの通信/カメラと飛行機/「組み合わせ」で武器になる
◆第3章 ネジ、工具、標準化――武器とものづくりの発想
武器の歴史、道具の歴史/原始的な武器/アルトラルの意義/武器のアイディアを残したダ・ヴィンチ/ダ・ヴィンチの武器に「独創性」はなかった/アルキメデスの武器/武器を構成する基本的な部品/ものを作るための道具/軍事がものの作り方を変えた?/「互換性」という発想/アメリカで発展した部品の「互換性」/労働慣習と工作機械/「互換性」から「標準化」へ/戦争が後押しした「標準化」/武器づくりにおける革命
◆第4章 語学、民族学、宗教――武器になりうる人文知
最も重要な武器は「語学」/アメリカ軍の日本語専門家養成/連合軍翻訳通訳部/日本軍の語学教育/不十分だった英語教育/ベネディクトの「菊と刀」/第二次大戦時の日本における「民族学」/総力戦研究所/戦時中の民族研究/「深く戦争に関わった学問」/さまざまな国策調査/イスラーム研究の狙い/日本人キリスト教徒による「宗教宣撫工作部」/後の枢機卿、田口芳五郎も加わる/神父と軍刀/マニラに送られた女子宗教部隊/宗教は戦争の「原因」ではない/宗教は「軍事技術年間に加えられるべきもの」/軍隊のなかの聖職者
◆終章 文化、戦争、平和――結局すべてが武器となる
「兵器の新概念」/武と文を分けない/戦争と軍事は「文化」ではない?/「文化的平和国家」/「文化」の語源/曖昧な「文化」と「文明」/三木清による「文化」/文化としての戦争/文化は「良いもの」なのか/戦争は専ら「破壊的」なのか/戦争・軍事も、所詮は文化/「デュアルユース」と「両義性」/武器は平和を知りうるか
参考図書案内もっと見る
著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]石川 明人(イシカワ アキト)
石川明人(いしかわ・あきと)
1974年東京都生まれ。北海道大学卒業、同大学院博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。北海道大学助手、助教をへて、現在、桃山学院大学准教授。専攻は宗教学、戦争論。単著に『キリスト教と日本人』(ちくま新書)、『私たち、戦争人間について』(創元社)、『キリスト教と戦争』(中公新書)、『戦場の宗教、軍人の信仰』(八千代出版)、『戦争は人間的な営みである』(並木書房)、『ティリッヒの宗教芸術論』(北海道大学出版会)、共著に『人はなぜ平和を祈りながら戦うのか?』(並木書房)、Religion in the Military Worldwide(Cambridge University Press)、『アジアの宗教とソーシャル・キャピタル』(明石書店)などがある。もっと見る
関連書籍
ページ:1 / 1
-
私たち、戦争人間について
定価:1,650円
刊行日:2017/08/21
-
戦争と技術
定価:2,640円
刊行日:2020/06/24
-
特攻文学論
定価:1,980円
刊行日:2021/08/04
-
〈趣味〉としての戦争
定価:3,080円
刊行日:2021/06/18
-
未来の戦死に向き合うためのノート
定価:1,760円
刊行日:2019/02/18
イチ推し!
-
好評!シリーズ「あいだで考える」最新刊!
言葉なんていらない?
定価:1,760円
刊行日:2024/10/25
-
ハン・ガンさんノーベル文学賞受賞!!
隣の国の人々と出会う
定価:1,540円
刊行日:2024/08/23
-
「忍たま乱太郎」原作者・尼子騒兵衛先生が送る!!
患者と家族のための マンガで学ぶ脳卒中
定価:1,540円
刊行日:2024/10/15
-
<11/22up!>note記事連載中
星の味 │ 徳井いつこ
※「note」に移動します
-
まもなく開催セミナー情報
【オンライン】刀装具入門セミナー
2024/11/22開催
全5回(単回参加歓迎!)※別サイトに移動します
関連特集
創元社オンラインショップの特長
-
送料無料
会員様は一点から送料無料(クレジット決済時)。
-
誕生日クーポン
会員様の誕生月にバースディクーポンをプレゼント!(入会翌月以降の誕生月にクーポンを発行いたします。)
-
特別販売
会員様限定!訳アリ本先行販売など、特別販売へご招待!
-
当日出荷
正午までのご注文で当日出荷(土日祝日除く)。
- 新着情報
-
お知らせ 2021/06/14 総合図書目録発行終了のお知らせ セミナー・イベント 2024/11/15 【2/1】対面&オンライン併用「カウンセリングで使える! フォーカシング指向心理療法 2025年・冬」 セミナー・イベント 2024/11/08 【1/12、1/19、1/26、/2/2】オンラインセミナー「実践!心理検査 P-Fスタディとバウムテストによる所見作成」 お知らせ 2024/11/07 システム更新のため、HP閲覧と出荷業務を一時停止いたします
-