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私たち、戦争人間について
愛と平和主義の限界に関する考察
石川 明人 著
内容紹介
人はなぜ、平和を祈りながら戦い続けるのか?
「戦争はなぜ起きるのか」「戦争の原因は何か」という問いを糸口に、戦争に対するさまざまな見方を、宗教学者でもある著者が、スリリングに読み解いていく、入門書としても手に取りやすい、戦争論エッセー。戦いは人間の本能なのか、人はどんな知識や技術を戦争に利用してきたのか、なぜ人々は平和を祈りながら戦うのか、そもそも「戦争」とは何なのか…。戦争を「悪」の一言で片付けるのではない、従来にない教養としての戦争論。もっと見る
目次
■序章 この世界のいったいどこに神がいるのか
一〇〇日間で八〇万人が殺された/神も沈黙して眺めていた/「狂っていた」のではない/無関心な平和主義者たち/「血を流す覚悟」をするべきか/寓話は意外と平和主義的ではない/武器を捨てるのは愚か者/平和のための仲裁者を鼻で笑う/ことわざにおける戦争/私たちは優しいのか、残酷なのか
■第一章 戦争の原因は何か、という問いについて
人はなぜ暴力的なのか/戦争原因論の諸相/戦争の「原因」、戦争の「責任」/「きっかけ」は必ずしも「原因」ではない/そもそも「原因」とは何なのか/利益のための戦い/「利益」をどう解釈するか/何のための「復讐」なのか/「復讐」の内実/「価値観の違い」で戦うのか/死者とのつながり/戦争と宗教の関係/人間行為と社会現象の「原因」
■第二章 戦争は人間の本性に基づいているのか
五〇〇〇年前に殺された男/大昔の人間も人を殺していた/動物と人間の攻撃性/「狩猟」と「キラーエイプ仮説」/狩猟仮説に対する批判/狩猟でも農耕でもなく、「定住」が問題/フロイトの戦争理解/それでも人が反戦活動をするのはなぜか/「人を殺すこと」への抵抗感/戦友に対する強烈な責任感/戦闘における殺人を可能にするもの/本当に殺人に抵抗感を覚えるのか/私たちの「内なる悪魔」/サディズムとイデオロギー/本性にこだわらねばならないのか
■第三章 戦争の役に立つ技術と知識
ポルシェ、エジソン、ライト兄弟/桃太郎と動物たち/モノを飛ばす道具/火器の発展/海上の兵器/飛行機と戦車の登場/化学兵器、生物兵器、核兵器/あらゆる技術が軍事に貢献する/トヨタ戦争/カメラから時計まで/人を生かすための医療、保存食/暗号のための「言語」と「数学」/技術と知識の両義性/あいまいな「軍事研究」/文系の学問と軍事研究/すべてが武器になる
■第四章 あまり自明ではない「戦争」概念
世界に宗教はいくつある?/「戦争」を数えるのは難しい/意外と新しい「戦争」という言葉/軍事行動、武力衝突を表す日本語/戦争と呼ばれる内戦/「戦略」概念の発生と語源/陸、海、空へと広がっていった戦場/拡散していく戦場/兵を動かす前の策略/戦わずして人の兵を屈する/文化の発露としての戦争/「戦争」概念の定義を保留にする
■第五章 戦時における人の精神と想像力
ヒトラーの演説/「群衆の中の個人は原始人に似ている」/人を戦争に駆り立てる主張/軍人の倫理と日々の佇まい/命の価値と「悠久の大義」/兵士たちのお守り/豚肉成分を塗布した銃弾/軍隊における宗教/軍人における「精神的な要素」の重要性/「精神」と「歴史」/兵士たちの心情/戦争中の噂と想像力/私たちは戦時だけおかしいのか
■第六章 私たちの愛と平和主義には限界がある
戦場に行った哲学者たち/戦争をどう認識するかは人それぞれ/一筋縄ではいかない「平和」/軍力の国籍剥奪?/平和のための名誉ある戦士/暴力で死ぬ確率は、激減している/平和化のプロセス/印刷物の増加、識字率の上昇/フォークソングの夢は実現している/権利革命/戦争も平和も文化である/文化としての平和主義/当然の疑問と向き合わねばならない/人は人を愛せない
あとがきに代えて
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著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]石川 明人(イシカワ アキト)
1974年東京都生まれ。北海道大学卒業、同大学院博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。北海道大学助手、助教をへて、現在、桃山学院大学准教授。専攻は宗教学、戦争論。
単著に『キリスト教と戦争』(中公新書)、『戦場の宗教、軍人の信仰』(八千代出版)、『戦争は人間的な営みである』(並木書房)、『ティリッヒの宗教芸術論』(北海道大学出版会)、共著に『人はなぜ平和を祈りながら戦うのか?』(並木書房)、Religion in the Military Worldwide(Cambridge University Press)、『アジアの宗教とソーシャル・キャピタル』(明石書店)などがある。もっと見る
訂正のお知らせ
2017年8月刊行の『私たち、戦争人間について』に誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。
訂正内容につきましては、こちらをご参照ください。 >>>PDF:247KB
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