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当初は単なる大衆文化の一つを指すに過ぎなかった「マンガ」という呼称は、いつしかアメリカ由来の「コミック」に負けないほど、世界中に通用する単語となり、日本が世界に誇ることのできる数少ない文化商品として、自他共に認めるメインカルチャーの道を歩んでいます。
その「マンガ」の歴史を遡る時、1930年代に花開いたアメリカン・コミックのヒーローや、「ポンチ絵」の源流となるヨーロッパのカリカチュア、あるいは前近代の漫画や戯画に言及することはあっても、モダンな「マンガ」の最大必要条件である、主人公が固定したストーリー性のあるコマ送りマンガの源流に具体的に言及することは、比較的稀でした。
今から1世紀前の20世紀ゼロ年代のこと、英国に代わり世界経済の主役に躍り出んとするアメリカでは、移民労働者層を主要な読者層にすえた大衆紙上に、新聞丸1ページを割いて、「だれでも、見ればわかる/楽しめる」コミック・ストリップ(連続するコマで、物語あるいは小話を語っていく連載マンガの総称)という方法で、「コミック」や現代マンガの起源ともいうべき紙面が毎週大量に生み出されていました。それらの中から、のちに傑作として再評価されることになった作品は、その後のマンガやアニメーションのみならず、あらゆる視覚芸術や文学表現に甚大な影響を与え続けました。
今回選ばれた作品は、その中でも最重要の、まさに"傑作中の傑作"です。造本においても、新聞掲載時のブランケット版オリジナル・サイズと美しいカラーを再現し、掲載当時の迫力をそのままに、日本語で楽しめる豪華版になっています。
また、翻訳に際しては、柴田元幸氏の監修のもと、ユーモアの秀逸さ、発想の豊かさを、想像力と言葉を駆使し、現代に蘇らせました。
マンガ、アニメーションから、美術、文学、新聞・メディアにまで影響を及ぼした、第一級資料。かつてない選集がついに刊行されます。
タイトル | [原寸版]初期アメリカ新聞コミック傑作集 1903-1944(全4巻+別冊)ISBN978-4-422-70045-8 |
価格 | 定価 132,000円(税込) |
刊行日 | 2013年5月20日 |
監訳者 | 柴田元幸 |
訳者 | 上田麻由子、小澤英実、柴田元幸、平塚隼介 |
出版社 | 創元社 |
内容・体裁 | 全4巻(総504貢、ブランケット変型判、上製糸かがり、継ぎ表紙装)+別冊(計5冊)、 函入り(輸送ケース)[約縦550×横450×厚さ120mm] |
◆「眠りの国のリトル・ニモ」縦540×横410×厚さ23mm、上製、128頁 ウィンザー・マッケイ[著] ピーター・マレスカ[編] 柴田元幸[監訳] 上田麻由子[訳] 原書:Little Nemo in Slumberland: So Many Splendid Sundays(Edited by Peter Maresca,2011) |
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◆「クレイジー・キャット」縦425×横360×厚さ24mm、上製、160頁 ジョージ・ヘリマン[著] ピーター・マレスカ、パトリック・マクドネル[編] 柴田元幸[訳] 原書:Krazy Kat: A Celebration of Sundays(Edited by Peter Maresca and Patrick McDonnel,2010) |
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◆「ガソリン・アレーのウォルトとスキージクス」縦540×横410×厚さ20mm、上製、96頁 フランク・キング[著] ピーター・マレスカ[編] 柴田元幸[監訳] 小澤英実[訳] 原書:Sundays with Walt and Skeezix(Edited by Peter Maresca and Chris Ware,2011) |
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◆「さかさま世界」縦270×横410×厚さ20mm、上製、120頁 グスタフ・ヴァービーク[著] ピーター・マレスカ[編] 柴田元幸[監訳] 平塚隼介[訳] 原書:The Upside-Down World of Gustave Verbeek(Edited by Peter Maresca,2011) (以上、元出版社はすべてSunday Press Books) |
柴田元幸 | 東京大学文学部教授、翻訳家 1954年、東京都生まれ。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、レベッカ・ブラウンなど、現代アメリカ小説の翻訳で知られる。2005年、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞受賞。2010年、ピンチョン『メイスン&ディクスン』(上・下)で日本翻訳文化賞受賞。著書に『アメリカ文学のレッスン』、『ケンブリッジ・サーカス』、『翻訳教室』、『柴田元幸と9人の作家たち ナイン・インタビューズ』、訳書にオースター『偶然の音楽』、ミルハウザー『マーティン・ドレスラーの夢』、ダイベック『シカゴ育ち』、村上春樹氏との共著に『翻訳夜話』、『翻訳夜話2-サリンジャー戦記-』ほか多数。 |