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57.編集者、松森務氏の軌跡を読む ─ 白鳥書院から平凡社への道 ─ |
今回はなかなか珍しいと思われる、一人の編集者の書いた一冊の私刊本を詳しく紹介しよう。 |
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外函 |
枡型本で、二重函、外函にも真中に手書きのタイトルが別紙で貼られ、水彩のカットが添えられているばかりか、中函も著者の思い出のコーヒー店の外観を木片(?)に色付けして貼りつけた立体的なものである。タイトルも水彩の手書きっぽいもの。本体表紙にも花の水彩画が貼りつけてあり、本をめくると又々別紙で草花の水彩画を貼りつけた扉が現れるといった案配……。 |
中函 |
この著者はよほど美術好きなのだな、というのが第一印象であった。(これは本文を読んでなるほどと納得する。)これらの絵のサインが「つとむ」となっているので、別人の画家のものかと最初思っていたが、読んでゆくと、松野杜夫はペンネームで、目次にある造本・装画=松森務、が本名だと分った。(以下、本名で表記)。 |
表紙 |
扉 |
これは面白そうだと思い、私は珍しく、届いた本をすぐ読み始めた。期待にそむかぬ充実した内容で、四、五日で読みおえた。さすがに若い日、小説も書いた人だけあって、文章も簡潔、明快な文体である。 |
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