吉村 作冶
【早稲田大学名誉教授、工学博士(早大)、エジプト考古学者】
人間にとって何かを知りたいというのは一番大切な欲求であるにもかかわらず、最近ないがしろにされている。テレビ番組などでクイズが流行っているが、その中身は薄く、表面的だ。実は根源から知らないと、かえって人生には毒となる可能性がある。生兵法は大怪我のもとというわけだ。知に対する人類の欲求は遠く古代からある。大プリニウス『博物誌』である。そして近代にはフランス18世紀の大百科事典だ。この創元社の「知の再発見」双書は、このフランスの流れをくむ原書「ガリマール発見叢書」で、現在550を超えるタイトルを出版している。食べ物は身体の栄養、知識は頭の栄養というが、まさしく本書を読むと実感できる。時代や国を越えて、知は人類のみがもつことのできる財産であることを発見できる。 |