「知の再発見」双書 宗教 歴史 芸術 人物 古代 世界 謎
title 知の再発見の歩み監修者の声
吉村 作冶

吉村 作冶

【早稲田大学名誉教授、工学博士(早大)、エジプト考古学者】

人間にとって何かを知りたいというのは一番大切な欲求であるにもかかわらず、最近ないがしろにされている。テレビ番組などでクイズが流行っているが、その中身は薄く、表面的だ。実は根源から知らないと、かえって人生には毒となる可能性がある。生兵法は大怪我のもとというわけだ。知に対する人類の欲求は遠く古代からある。大プリニウス『博物誌』である。そして近代にはフランス18世紀の大百科事典だ。この創元社の「知の再発見」双書は、このフランスの流れをくむ原書「ガリマール発見叢書」で、現在550を超えるタイトルを出版している。食べ物は身体の栄養、知識は頭の栄養というが、まさしく本書を読むと実感できる。時代や国を越えて、知は人類のみがもつことのできる財産であることを発見できる。

池上 俊一

池上 俊一

【東京大学大学院教授】

とっておきの美しいカラー図版でまず想像力を掻き立てておいて、つぎにその分野の第1人者が正確な解説を施し、さらに巻末の参考資料が現場の臨場感をも味わわせる。たくみなレイアウトと相俟って本双書はじつに心憎い構成だなあと、つねづね思ってきた。内容はしっかりしているのに、敷居の低さと、ついつい手を伸ばしたくなるキュートさが人気の秘密だろう。本シリーズの原書「ガリマール発見双書」には、私の専門の西洋中世関係のタイトルがまだまだある。「聖人」とか「カタリ派」とか「カーニヴァル」とか……。中世の奥深さと魅惑を一般の人たちにもっと知ってもらうために、それらの日本語版が次々出版されればなあ、と密かに願っている。21世紀の「百科全書」の名にふさわしいこの双書には、是非200巻、300巻と巻を重ねてほしい。

高階 秀爾

高階 秀爾

【東京大学名誉教授、大原美術館館長】

啓蒙主義の時代に企てられたあの壮大な『百科全書』の刊行がよく物語るように、あらゆる分野にわたって人類の知識の集大成を図り、それを実現させるというのは、いわばフランスのお家芸である。「知の再発見」双書は、この伝統を受け継いで、現在における最前線の知的活動の成果を、きわめてわかり易いかたちで纏めた現代の百科全書である。実際その目配りの良さは、まさしく百科全書的である。私はよく知らない分野のことを調べたいと思う時は、まずこの双書を探す。すると大ていの主題について、適切な本が見つかる。しかも豊富な図版と信頼できる資料が収められているので、何よりも有難い。この双書を揃えることは、知の世界をそのままに手に入れることになるだろう。

船本 弘毅

船本 弘毅

【元東京女子大学学長、関西学院大学名誉教授】

「知の再発見」双書が、150巻を数えることになりました。活字離れが問題にされる時代の中で、これは驚くべきことと言わざるを得ないでしょう。美しい図版と、コンパクトながら豊かな内容に溢れるこの双書は、考える存在であるわたしたちを「知の旅」へ駆り立てる尽きることのない魅力に満ちているからだと思います。
「知の再発見」双書が取り上げているテーマは、人間の生み出したあらゆる分野の「知の遺産」を網羅しています。「知」が、他者を傷つけたり、滅ぼしたる力になるのではなく、愛において、平和と共存の世界を造り上げていく力になることを心から願い、また本双書によって多くの人が、新しい世界に目と心を開かれるよう期待しています。

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