国絵図読解事典

オールカラー・B5判・上製・320項 
定価 9,680円(税込)
江戸時代の国土を知るための
新たな基本図書

こんな方に\お薦め/します

  • ◎各都道府県・市町村史研究の基本レファレンスとして。
  • ◎地域史・歴史地理・自然地理、土木・建築・都市工学・ 災害対策、幅広い分野に使えるレファレンスとして。
  • ◎学校教育での、古地図・絵図利用のための参考書として。
  • ◎古地図愛好家座右の書として。

内容紹介

徳川幕府が江戸時代を通して、全国諸大名に何度も作成・提出を命じた巨大な極秘地図・国絵図。その最新の研究成果を網羅し、情報の宝庫である国絵図の幅広い活用を可能にする初めてのエンサイクロペディア。図版約400点収録。

サンプルページ

【 010-011頁 】

本書の総論。江戸幕府による、国家事業としての国絵図編纂の変遷と概要が分かる内容。

【 048-049頁 】

国絵図とセットで作成された「郷帳」(一国単位で集計された村名・村高を記載した帳簿の総称)と、それに対応した国絵図への村高等の記載について詳述。国絵図は、国々や各村の生産高把握・管理の機能も持っていたのである。

【 070-071頁 】

近年は、国絵図の内容だけではなく、料紙や顔料などの分析からの実証研究が進むのと並行して、美学・芸術史的観点からの研究も注目されている。

【 134-135頁 】

江戸時代後期の国防意識の芽生えは、辺境への強い関心へと向かう。蝦夷地像の変遷からもそれは伺える。

【 184-185頁 】

膨大な情報を記録した国絵図には、寺社や霊山の描写も見ることができる。伊勢・出雲・日光・立山など具体的にその例を詳述。

【 206-207頁 】

国絵図とその周辺の絵図に描かれた「鳴門の渦潮」を比較研究して見えてくるものとは。これも国絵図の利用方法の一つ。

【 214-215頁 】

極秘・手書きの国絵図だが、それを元に刊行(板行)もされていたことは意外と知られていない。左頁は、本書に9本収録されたコラムのひとつ。

【 228-229頁 】

伊能図完成二百年記念の2021年に刊行される本書収録の、伊能忠敬が収集した国絵図とその活用方法についての項目。研究はまだ端緒についたばかり。

【 236-237頁 】

オランダのライデン大学図書館には、シーボルトが収集した手書きの彩色国絵図のコレクションがあり、その研究も近年進展している。保存状態は極めて良好。

【 272-273頁 】

高校の地理総合の授業で活用された国絵図の例。現在の水害ハザードマップとの比較・重ね合わせ地図として用いる例などを紹介。

【 282-283頁 】

非常に大きい国絵図は展示も大変で工夫が欠かせない。その具体例を紹介するなかでの展示写真を見ると、その巨大さが実感できる。

【 312-313頁 】

本書に収められた資料のうちのひとつである、「国絵図・古地図関連サイト一覧」の一部。近年、国絵図のデジタルアーカイブ化が急速に進展していることに対応したもの。

目   次

【はじめに】

【総論篇】

  1. 1江戸幕府による国絵図・日本総図編纂事業(小野寺淳・倉地克直)
  2. 2織豊期の越後国郡絵図——越後国瀬波郡絵図・頸城郡絵図(阿部哲人)
  3. 3江戸幕府撰国絵図の多様な地図仕立て(倉地克直・小野寺淳)
  4. 4江戸幕府撰の日本総図(川村博忠)
  5. 5国絵図と日本図のはざま“寄絵図”——江戸初期の奥州図・九州図・四国図(小野寺淳・礒永和貴・平井松午)
  6. 6六十余州図——関東を中心にして(白井哲哉)
  7. 7国絵図記載の石高と郷帳(和泉清司)
  8. 8道帳と国絵図(野積正吉)
  9. 9国絵図と料紙(地主智彦)
  10. 10国絵図の方位表記と凡例(兼岡真子)
  11. 11国絵図の彩色——色の質感にみる江戸の美意識(降旗千賀子)
  12. 12国絵図の測量と歪み(出田和久)
  13. 13国絵図と城絵図(上島智史)
  14. 14正保国絵図と元禄国絵図のはざま——寛文期の上野国絵図(干川明子)
  15. 15国絵図作成のための領内図(渡辺理絵)
  16. 16元禄国絵図改訂に関する絵図元の記録——仙台藩の場合(阿部俊夫)
  17. 17毛利家文庫収蔵の防長両国絵図——「加文」要請前後における2様の元禄度国絵図(河村克典)
  18. 18国境縁絵図と海際縁絵図——周防・長門両国を中心に(河村克典)
  19. 19阿蘭陀流町見術と元禄日本図の描法(佐藤賢一)
  20. 20享保日本図と望視方法(種田祐司)
  21. 21天保国絵図改訂事業——弘前藩・盛岡藩を事例に(尾﨑久美子)
  22. 22蝦夷地像の変遷と蝦夷図(米家志乃布)
  23. 23「琉球国絵図」と「琉球国変地改目録」——悪鬼納から沖縄へ(金城善)
  24. 24国絵図研究の歩みを俯瞰する——19世紀から21世紀へ(杉本史子)

【各論篇】

  1. 25江戸幕府撰国絵図以前の国土図(藤田裕嗣)
  2. 26大名家所蔵の国絵図——岡山大学池田家文庫(倉地克直)
  3. 27八ヶ岳扇状地の開発と国境記載(礒永和貴)
  4. 28国絵図と山論——陸奥国の国境・郡境(阿部俊夫)
  5. 29国絵図にみる街道と古城の表記——近世初期の阿波国絵図にみる領国支配(平井松午)
  6. 30国絵図・日本総図にみる舟路(小野寺淳)
  7. 31国絵図にみる災害——慶長豊後地震の被災地「かみの関」の比定(平井義人)
  8. 32国絵図にみる信仰——特に寺社と霊山の描写について(小田匡保)
  9. 33国絵図に描かれた被差別「村」(小野田一幸)
  10. 34正保度の領内図にみる植生表現——庄内地域の自然環境(渡辺理絵)
  11. 35国絵図にみる「大坂川口新田」の開発——元禄・天保摂津国絵図の比較分析(小野田一幸)
  12. 36絵図にみる海洋現象「鳴門の渦潮」——海の難所から名所へ(平井松午)
  13. 37写される国絵図——手書き彩色常陸国絵図を事例に(石井智子)
  14. 38刊行された国絵図(上杉和央)
  15. 39国絵図と名所図会——河内国を事例に(山近博義)
  16. 40「改正日本輿地路程全図」と国図(永山未沙希)
  17. 41伊能忠敬と国絵図(紺野浩幸)
  18. 42シーボルト本の手書き彩色国絵図(小野寺淳)
  19. 43「針図」と「琉球国之図」——乾隆大御支配(元文検地)による測量事業(金城善)
  20. 44実測国図・郡図の登場——伊能忠敬と地方測量への波及効果(鳴海邦匡・野積正吉・塚本章宏・平井松午)
  21. 45幕末の絵図に描かれた因伯二国の台場——「因伯両国海岸調査絵図」と「御両国之図」(戸祭由美夫)
  22. 46明治期における国絵図の利用——府県境、国界、郡界を中心に(喜多祐子)
  23. 47明治の城絵図「陸軍省城絵図」(井口琢人)
  24. 48絵図を活用した「地理総合」の授業の提案——下総国絵図を事例に(岩間絹世)
  25. 49国絵図の撮影(瀬戸祐介)
  26. 50国絵図の展示(種田祐司)

【コラム】

  1. コラム1国絵図の作成費用(平井松午)
  2. コラム2江戸幕府撰国絵図・日本総図関連年表(平井松午)
  3. コラム3飫肥藩領国絵図にみる寛文2年「日向灘地震」(長友禎治)
  4. コラム4寛文7年土佐浦々国絵図(渡部淳)
  5. コラム5国絵図のなかの世界遺産(上杉和央)
  6. コラム6国絵図調査のマナー(小野寺淳)
  7. コラム7森幸安と国絵図(上杉和央)
  8. コラム8沿海浅深絵図「淡州海灘之図」(平井松午)
  9. コラム9国絵図研究会の歩みと活動(小野寺淳)

【付 録】

参考文献ならびに国絵図関連文献一覧 / 国絵図・古地図関連サイト一覧 / 国絵図関連新聞記事一覧

編者紹介

小野寺 淳 (おのでら あつし)

茨城大学教育学部教授。1955年8月、東京都文京区生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒業、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得満期退学、筑波大学地球科学系講師を経て、1995年4月より茨城大学教育学部助教授、1999年10月より教授。茨城大学図書館長(2010年4月~2014年3月)、歴史地理学会会長(2019年5月~)ほか。文学博士。専門分野は歴史地理学、地図史、文化地理学。

単著:『近世河川絵図の研究』古今書院、1991年。
共編著:『文化地理学入門』東洋書林、1995年。『歴史地理調査ハンドブック』古今書院、2001年。『国絵図の世界』柏書房、2005年。『絵図学入門』東京大学出版会、2011年。『シーボルトが日本で集めた地図』古今書院、2016年。ほか分担執筆多数。

平井 松午 (ひらい しょうご)

徳島大学名誉教授・非常勤講師。1954年1月、北海道帯広市生まれ。立命館大学文学部地理学科卒業。同大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学、1982年4月より徳島大学教養部講師・助教授、同大学総合科学部助教授を経て、1998年4月より教授、2019年3月退職。総合科学部長(2013年4月〜2017年3月)。専門分野は歴史地理学・歴史GIS。

単著:『近代北海道の開発と移民の送出構造』札幌大学経済学部附属地域経済研究所、2006年。
編著:『近世城下絵図の景観分析・GIS分析』古今書院、2019年。
共編著:『絵図学入門』東京大学出版会、2011年。『近世測量絵図のGIS分析―その地域的展開―』古今書院、 2014年。ほか分担執筆多数。

国絵図研究会について

国絵図研究の第一人者である川村博忠を代表に、平成8(1996)年に発足。非常に大判であるため古地図分野の中でも学術研究が立ち遅れていた国絵図の本格的な研究調査に画期をもたらす。現在は、本書編者の小野寺淳が代表を務める。
ホームページ:
http://www.kuniezu.net/

国絵図読解事典
小野寺淳、平井松午 編

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