B5判・上製・320項・オールカラー
定価 9,680円(税込)
美麗にして画期的な
〈文理融合型〉古地図研究。
伊能忠敬記念館をはじめとする
所蔵16機関・
合計約150点の
伊能図及び関連図を収録、解説。
川村博忠
東亜大学名誉教授
国絵図研究会初代会長
伊能図については、これまで多くの研究が積み重ねられてきた。とりわけ近年は伊能忠敬没後200年目を迎えたことから、伊能図に関する論考が目立っている。その状況下で、ここに紹介する平井・島津編『<稿本・大名家本>伊能図研究図録』が異彩を放つ。
本書は平井松午氏を代表とした大型科研「伊能図の成立過程に関する学際的研究」(参加者27名)の研究成果を図録にまとめて刊行したものである。A4版約350頁のうちに150点余の高精細画像を配して、膨大で緻密な研究の成果を鮮明な画像で会得させてくれる。
従来の伊能図調査では針穴の確認など絵図の作成技法が重視され、絵図仕立の基になる料紙や絵具の種類などについては目視調査に依拠する程度であった。ところが今回は、初めて料紙・絵具・配色について理化学的な分析が試みられ、その研究成果を図録で確認できる。近年向上のデジタル技術を駆使した研究の新たな成果として注目されよう。
星埜由尚
伊能忠敬研究会特別顧問
元国土地理院長
元日本地図学会会長
このたび、徳島大学名誉教授の平井松午先生が中心となり、表記の図録が刊行されました。伊能図に関しては、さまざまな図録が世に出ておりますが、これまでは、最終完成版の地図を主体としたものが多く、伊能測量開始から幕府上呈に至るまでにおける測量・地図作製の過程での中間成果をまとめた地図を中心とする図録は皆無でした。
本著では、中間成果の地図についての多数の研究者による研究成果がまとめられ、伊能図に関する初めての学術的図録と言っても過言ではないと思います。中間成果をたどることにより、最終成果「大日本沿海輿地全図」の作製過程をさらに明らかにすることに大きく役立つものと考えられます。特に、地図料紙、地図彩色顔料などに関する研究は、伊能図の書誌学的研究において重要な検討材料となることと思います。
今年は、伊能図上呈200 年に当たりますが、それを記念する画期的な学術的図録として、伊能図研究者に限らず、伊能図に関心ある一般の方々、学術機関、図書館などの公的機関においても、蔵書として備えられることを江湖に広くお奨め致します。
彩色や料紙、針穴や測線、描画や記号など、地図を構成するあらゆる<モノと情報>を綜合的かつ自然科学的にも分析。
幕府に上程された伊能図の最終版と言われる「大日本沿海輿地全図」及び、明治政府に献納された同図の副本は、共に灰燼に帰し現存しない。しかし、伊能図はそれ以外にも数多く作製され、なかでも各大名家の求めに応じて作製献上された地図は名品が多い。本書には、伊能図作製過程の研究に不可欠な稿本・下図以外にもそれら名品を多数掲載している――下記目次の【大名家本】がそれに相当する――のも大きな特長のひとつである。
「伊能図」の種類と伊能図調査
本書掲載「伊能図」の概要
掲載地図一覧
伊能忠敬記念館所蔵「伊能図」と下図
京都大学附属図書館所蔵「伊能忠敬翁地図」
東京大学総合図書館所蔵「測地原稿図」
国文学研究資料館所蔵「沿海地図」中図・小図
徳島大学附属図書館所蔵「沿海地図」と「大日本沿海図稿」
松浦史料博物館所蔵「実測地図」(伊能大図・中図・小図)
山口県文書館所蔵「御両国測量絵図(伊能大図)」
学習院大学図書館所蔵「大日本沿海輿地全図」(伊能中図)
宮城県図書館所蔵「沿海地図」(伊能中図)
国立国会図書館所蔵「伊能図」
国立歴史民俗博物館所蔵(秋岡武次郎古地図コレクション)「伊能図」
早稲田大学図書館蔵所蔵「伊能図」
神戸市立博物館所蔵「伊能図」
長崎歴史文化博物館収蔵「伊能図」
広島県立歴史博物館所蔵(守屋壽コレクション)「従尾張至蝦夷北極出地度量図」(沿海地図小図)
ゼンリンミュージアム所蔵「實測輿地圖」(伊能小図)※
伊能図と料紙
伊能図にみられる彩色材料と技法
「伊能図」関連文献一覧
※)2021年5月に新出の伊能図として「確認」され話題となったもの。
B5判・上製・320項・オールカラー
定価 9,680円(税込)
A3判・上製・288頁・オールカラー
定価 49,500円(税込)
A4判・上製・344頁・オールカラー
定価 16,500円(税込)