創元社NEWS*2020年10月号
弊社では今月より、自社本の中身を動画で紹介する企画がスタートいたしました。題して「今日の本めくり」です。
図鑑やイラストブックといった「映える」書籍を、創元社youtubeチャンネルにて配信していく予定です。ご購入やお取り寄せの参考にしていただけますと幸いです。
それでは今月のメルマガをお送りいたします。(A)

>>創元社youtube「今日の本めくり」はこちら

編集者の裏×裏・・・イチオシの新刊を担当編集者の声とともにご紹介。
新刊&近刊情報・・・絶賛発売中&これから発売予定の新刊ラインナップ。
営業部だより・・・営業部員がお届けする、本が読まれる現場からの報告。
[連載]ソジーのゲラ・・・公式キャラクター・ソジーが現在編集中の本のゲラを紹介。
将棋瓦版・・・創元社将棋普及チーム4名がお届けする、将棋に関するつぶやき。
キャンペーンのお知らせ・・・現在実施中のキャンペーン情報。
イベントのお知らせ・・・今月開催予定のイベント情報。
「創元社note部」更新情報・・・最新のnote更新情報をお知らせ。
「じんぶん堂」掲載情報・・・「じんぶん堂」に掲載された弊社記事をお知らせ。

 編集者の裏×裏(ウラジジョウ)
イチオシの新刊を担当編集者の声とともにご紹介。

人類堆肥化計画【10/23発売】
東千茅 著 定価(本体1,700円+税)

生きることの迫真性を求めて里山へ移り住んだ若き農耕民が構想する、生き物たちとの貪欲で不道徳な共生宣言。一般に禁欲や清貧といった観念に結び付けられている里山を、人間を含む多種たちの賑やかな吹き溜まりとして捉え直し、現代社会において希釈・隠蔽されている「生の悦び」を基底から問い直す。真に切実な問いと、根源を目指す思考とを、地についた生活に支えられた文章で表した、読む人に鮮烈な印象を与える第一著作。

担当編集者より
本書の著者である東千茅さんは、まだ一冊の著作もない。彼は作家でも研究者でもなく、奈良の里山で自給自足の生活を営む若き農耕民である。そんな彼の紡ぐ言葉は地についた生活に支えられていて、ほかの誰にも似ていない。

『人類堆肥化計画』とは、人間を含めた異種生物が欲望をぶつけ合いながら生きる「お祭り騒ぎ」のことである。彼は本書の中で、禁欲や清貧の思想に結びつけられ易い既存の里山観や、「共生」という言葉に付随する牧歌的なイメージを徹底的に批判する。それは彼がこういった観念の中に、人間中心主義のエゴイズムを感じ取っているからだ。
東さんは、人間の偽善性や傲慢さに誰よりも敏感であるが、それが自分の中にも在ることを自覚しており、かつ、その事実を否定も誇示もなく見つめられる強さを持っている。はたから見れば彼の農耕生活は長閑に映るかもしれないが、繰り返しの日々の営みを通して、内なる〈自己〉や〈世界〉と壮絶な戦いを繰り広げているように思われる。
本書の原稿を読みながら、露悪的な物言いに戸惑いを覚える瞬間がありつつも、ある種のカタルシスを感じずにはいられなかった。それは、彼が自分自身を異種生物と同列に扱い、人間の存在は「何ら特別でない」と腹の底から認めていることで、読み手である私自身の「特別でなさ」も肯定されたように感じるからだと思う。

コロナウイルスという「異種生物」との共生を誰もが余儀なくされている今、東さんの「共生宣言」である本書から学び得るものは多いはずである。同時代を生きる人たちの、本書に対する感想を聴きたいと願っている。(AN)

╋ 新刊&近刊情報
絶賛発売中&これから発売予定の新刊ラインナップ。

心理学手帳[2021年版]【9/2発売】
心理学手帳研究会編 定価(本体1,400円+税)

心理学の幅広い知識を凝縮した資料編をさらに見やすくリニューアル、全ページ2色刷に大刷新! 内容面では心理アセスメントと向精神薬に関する情報を大幅増補。


はぐくむ、はたらく、豊かに暮らす――障がいと向き合って【9/8発売】
社会福祉法人京都ライフサポート協会編 定価(本体1,500円+税)

心身に障がいのある方が、施設で暮らし、働くというありのままの姿を紹介。当事者やその家族、福祉の仕事に携わる人びとへのヒントに満ちた一冊。Q&A、英文対訳付。

AI〈人工知能〉のきほん【9/14発売】
土屋誠司著 定価(本体2,500円+税)

シリーズ第1巻のテーマはAI〈人工知能〉。歴史や問題点を踏まえつつ、人工知能がもつ主要な5つのはたらき「知識」「推論」「探索」「分類」「学習」について学びます。

プログラミングのきほん【9/14発売】
土屋誠司著 定価(本体2,500円+税)

シリーズ第2巻のテーマはプログラミング。言語の習得ではなく、基本的な考え方を「演算子」「条件分岐」「変数・型」「配列」「繰り返し」「関数」の6つに分けて学びます。

デジタルリテラシーのきほん【9/14発売】
土屋誠司著 定価(本体2,500円+税)

シリーズ第3巻のテーマはデジタルリテラシー。現代の生活に欠かせない「ネット」や「SNS」とうまくつき合っていくためのスキルやコツについて学びます。

旧暦・年中行事カレンダー2021【9/15発売】
創元社編 定価(本体1,400円+税)

旧暦および月と潮にまつわる情報と、年中行事や祭りとゆかりの食べ物、二十四節気・七十二候や干支まで多種多彩に収載。季節感と伝統文化を楽しむ「にっぽんの暦」の決定版。

記念日・歳時記カレンダー2021【9/15発売】
日本記念日協会監修 定価(本体1,400円+税)

『すぐに役立つ366日記念日事典[第4版]』をベースに旧暦・月齢・二十四節気・七十二候・歳時記などの情報をプラス。毎日のコネタ、ビジネスのヒントが盛りだくさん!

フィッシュ・アンド・チップスの歴史――英国の食と移民【9/15発売】
パニコス・パナイー著/栢木清吾訳 定価(本体2,400円+税)

19世紀英国に生れ、20世紀前半には安くて栄養満点の日常食として労働者階級に広まったフィッシュ・アンド・チップス。庶民の食から読む移民社会英国の歴史。図版多数。

世界で一番美しい「もの」のしくみ図鑑【9/15発売】
セオドア・グレイ著/前島正裕、佐々木勝浩監修 定価(本体3,800円+税)

「スケルトン家電」をはじめ、「鍵」や「時計」、「はかり」などをテーマに、美しい写真と解説図を用い、従来の「もののしくみの本」とはまったく違う視点を持ち込む。

鉄道手帳[2021年版]【9/25発売】
所澤秀樹監修/創元社編集部編 定価(本体1,200円+税)

2008年から毎年発行する鉄道情報満載のダイアリー。全路線、全停車場を網羅した路線図、鉄道各社のイベント予定、50頁超の巻末資料編などを収録。

ひと目でわかる テクノロジーのしくみとはたらき図鑑【9/25発売】
村上雅人、小林忍監修/東辻賢治郎訳 定価(本体2,800円+税)

見やすいイラストで機械の中身を解きほぐし、そのはたらきをひとつひとつ解説。歴史を変えた発明から、未来の鍵を握るテクノロジーまで幅広く紹介する。


Scratch 3.0対応版 10才からはじめるScratchプログラミング図鑑【9/25発売】
キャロル・ヴォーダマン著/山崎正浩訳 定価(本体2,800円+税)

簡単にできるゲームからふしぎなグラフィックや楽しいアニメーション、アート作品まで、さまざまなプロジェクトが盛り沢山。この本でプログラミングのスキルをみがこう!

命を危険にさらして――5人の女性戦場ジャーナリストの証言【10/5発売】
マリーヌ・ジャックマンほか著/遠藤ゆかり訳 定価(本体1,800円+税)

男性だけが担当していた戦場ルポの世界に飛び込んだ最初期のベテランから若手まで、世代も経歴も異なる5人のフランス人女性戦場ジャーナリストが綴る、真摯なエッセイ集。

フィボナッチの兎――偉大な発見でたどる数学の歴史【10/5発売】
アダム・ハート=デイヴィス著/緑慎也訳 定価(本体1,800円+税)

ピタゴラスの定理からフェルマー、ワイルズ、フィボナッチ、ニュートン、オイラーなどの先駆者による偉大な「ひらめき」まで、50の歴史的発見でつづる壮大な数学史。

野口孫市の建築術――西洋と日本のはざまで【10/5発売】
林和久著 定価(本体3,500円+税)

野口孫市(1869-1915)は短い人生の間に数々の名作を残した。この場に存在することの意味を考えた中之島図書館、自由な構成による住友家須磨別邸など建築術の核心に迫る。

ロールシャッハ法による精神病現象の査定――理論的・概念的・実証的発展【10/14発売】
ジェームズ・H・クレーガー著/馬場禮子、吉村聡監訳 定価(本体8,500円+税)

ロールシャッハ法は医療現場で用いられることの多い心理検査のひとつ。本書は、ロールシャッハ法で求められることの多い精神病の査定に特化して解説した専門家必携の一冊。

エゴグラム――ひと目でわかる性格の自己診断【10/14発売】
ジョン・M・デュセイ著/池見酉次郎監修/新里里春訳 定価(本体3,800円+税)

孤独、夫婦間の葛藤、心身症からの解放等、豊富な実例をもとに説き、わが国ではじめてエゴグラムを紹介した翻訳書、待望の復刊。

発達障害児のプレイセラピー――未分化な体験世界への共感からはじまるセラピー【10/14発売】
藤巻るり著 定価(本体3,600円+税)

自閉症児とのプレイセラピーにおいて治療者自身も未分化な意識状態に入り込む「地べた意識」が、自閉症児の世界を社会的文脈につなげる作業であることを明らかにする。

心理療法と現代の意識――「非二」という視点からの考察【10/14発売】
橋本尚子著 定価(本体4,000円+税)

現代の意識の特徴を「非二」の意識と捉え、「非二」の意識の発達とその治療論を考察。「非二」と「二」の事例を検討しながら「二の世界」「非二の世界」の普遍性を見出す。

復職支援の心理療法――グループにおける異質性との出会い【10/14発売】
長堀加奈子著 定価(本体3,600円+税)

グループサイコセラピーにおける「異質性」との出会い、関わりが復職支援においていかなる意義を持つのか。事例検討および参加者のインタビュー調査からその可能性に迫る。

被虐待体験によるこころの傷とその癒し――イメージを用いた心理療法の支援プロセスモデルの構築【10/14発売】
廣澤愛子著 定価(本体3,600円+税)

事例研究を通して、被虐待体験があるクライエントに対するイメージを用いた心理療法の支援プロセスモデルを構築し、その回復過程と留意点、利点を明らかにする。

お葬式の言葉と風習――柳田國男『葬送習俗語彙』の絵解き事典【10/14発売】
高橋繁行著 定価(本体1,800円+税)

柳田國男『葬送習俗語彙』(昭和12年)に出てくる葬送習俗の言葉の中から約180を選び、著者自身の聞き取り調査を盛り込みながら、不思議な魅力をもつ切り絵とともに解説。

近代戦争論【10/14発売】
リチャード・イングリッシュ著/矢吹啓訳 定価(本体2,400円+税)

近代戦争の諸側面について、歴史学、政治学、経済学、神学、心理学などの観点から考察。近代戦争の定義、原因、戦いの動機、終結に至る経緯とその遺産を多角的に検証する。

サブスクリプション【10/23発売】
小宮紳一著 定価(本体1,800円+税)

話題のビジネスモデル「現代型サブスクリプション」の隆盛を支える消費志向の変化や物流の進歩、デジタル技術の活用などを、イラストや図版を使ってやさしく解説。

あの恐竜どこにいた? 地図で見る恐竜のくらし図鑑【10/23発売】
ダレン・ナイシュ監修/田中康平監訳/喜多直子訳 定価(本体2,400円+税)

ティラノサウルスの化石がはじめて見つかった国は?ヴェロキラプトルが狩りをしていた場所は?食べ物は?古代と現代の地図を使って、恐竜と古代の生き物のくらしを紹介。

ヒトの足――この謎にみちたもの【10/23発売】
水野祥太郎著 定価(本体4,000円+税)

ヒトの二足直立歩行の起源に新説を提唱した著者のライフワーク。恐竜の足の謎解きから扁平足問題、足の痛み、履物まで知的興奮に満ちた考察。

アメリカは正気を取り戻せるか――精神科医が分析するトランプの時代【10/30発売】
アレン・フランセス著/大野裕監修/北原陽子訳 定価(本体2,200円+税)

「病んでいるのはトランプではなく、彼のような人間を大統領に選んだアメリカ社会の方だ」。アメリカ精神医学界の権威が分析する現代アメリカの抱える問題点とその対処法。


╋ 営業部だより
営業部員がお届けする、本が読まれる現場からの報告。

みなさんは、創元社に公式キャラクターがいるのをご存じですか? その名もソジー。ひつジのソジー。ラララ活字の妖精。
2019年10月のデビューから、約一年。今では、創元社の名刺はもちろん、SNSのアカウント、社用封筒にフライヤーetc……創元社のいたるところに、愛らしいその姿をのぞかせています。
もっとソジーのことを知ってもらいたい! 缶バッジが4種類あること、インスタグラムの公式アカウントがあること、毎月2枚オリジナルのスマートフォン壁紙を配布していること、創元社の本を通信販売で購入したらソジーのしおりとフライヤーがついてくること……。
まずは創元社ホームページ内「ソジーのゲラ」にアクセスください。季節のソジーがお出迎えします(完全なる宣伝でした)(G)


[連載]ソジーのゲラ
公式キャラクター・ソジーが現在編集中の本のゲラを紹介。
「ソジー、今度は何の本のゲラを見つけたの?」 


ぐあッ! まぶ……! はっ、ソジーから後光が……
まさか引きこもり過ぎて悟りを開いちゃったの!?
……。
あ、よく見たら背景、11月の新刊『 黄昏 In the Twilight』のゲラだわ。
ソジーは美味しい紙を求めて相変わらず煩悩だらけだわ。
ソジー、これは写真家の水口博也さんが、世界各地の朝焼け・夕焼けの光景を、生き生きとした動物や雄大な大地とともに収めた写真集のゲラだよ。
どのページも、心身にしみいるような美しさだね。
ネイチャーフォトの第一人者が捉えたいわゆる「マジックアワー」の瞬間を迫力ある大判サイズで見られるだけじゃなく、水口さんの紀行エッセイも載っていて、実際に旅をしているような気持ちにさせてくれるんだ。
ソジーはサバンナの夕焼けが気になるの? 夕焼けの海を泳ぐクジラや、朝焼けに染まる氷河もきれいだよねえ。
でもやっぱり岩石好きの私としては、写真右下のアンテロープキャニオン(アメリカ)がイチオシかな。太陽の角度によってさまざまに表情を変える、侵食が生んだ流れるような縞模様の砂岩の壁……うひゃ~、たまんないよね! おっと危ない、ヨダレが……。(O)



╋ 将棋瓦版
将棋が好きな男性社員二名と将棋に興味が出てきた女性社員二名がお届けする将棋に関するつぶやき。
11月17日は「将棋の日」だ。
「将軍・吉宗の頃に、11月17日に御城将棋という年中行事を行っていた史実から、日本将棋連盟が1975(昭和50)年に制定。江戸時代の将棋家元には幕府から俸禄が支給され、名人位は将棋御三家の世襲だった。実力制名人制度が開始されたのは1937年のこと。」
一般社団法人 日本記念日協会編『 すぐに役立つ366日記念日事典 第4版』より

毎年、将棋の日の前後には、全国でトークショーや指導対局など様々な将棋イベントが行われていたが、今年は人が大勢集まることが難しく、中止やオンラインイベントが目立つようだ。当社の地元・大阪にある関西将棋会館でも、告知がない。
ところで、我々創元社将棋普及チームのメンバーで、関西将棋会館に行ったことがある人は、実は1人しかいない。いつか訪ねようと考えていたが、将棋の日にちなんで11月某日に訪問することになった。先方にも迷惑をかけないよう完全対策をして、関西将棋会館の様子を皆様にお届けできればと思う。(次月に続く)

╋ キャンペーンのお知らせ
現在実施中のキャンペーン情報。
【1】『心理学手帳』愛読者アンケート
『心理学手帳』を購入しアンケートにご協力いただいた方の中から抽選で30名の方にオリジナルクリアファイルをプレゼント。

╋ イベントのお知らせ
※スケジュールや内容は変更になることがございます。
■日常茶飯のリデザイン
 ―イギリスのフィッシュ・アンド・チップスから考える―
日時:2020年10月17日(土) 18:30-20:00
会場:オンライン開催(お申し込み受付の際に配信URL情報をお送りいたします)
登壇者:栢木清吾(訳者) ×  稲垣健志(金沢美術工芸大学准教授)
参加費:無料

■フィッシュ・アンド・チップスのはなし―移民、階級、食文化―
日時:2020年10月24日(土) 18:30開場/19:00開演
会場:Readin'Writin' BOOKSTORE(東京都台東区寿2-4-7)
   *オンライン配信あり
登壇者:栢木清吾(訳者) ×  河野真太郎(英文学者)
参加費:1000円

╋ 「創元社note部」更新情報
最新のnote更新情報をお知らせ。
 ■『フィッシュ・アンド・チップスの歴史』関連情報集積所
『フィッシュ・アンド・チップスの歴史』のイベント情報や書評掲載情報をあつめた記事です。
随時更新予定。

■いやな壺に入ると超気持ちいい。
創元社の本を読んで、作家・千葉集が法螺を吹くシリーズ企画。ジャンルとジャンルの境界線上を彷徨いながら、不定期にショートショートを連載します。 
第一回は壺のお話。


╋ 「じんぶん堂」掲載情報
「じんぶん堂」に掲載された弊社記事をお知らせ。
■人生の後半戦を生き抜くために、マンガで読むカーネギー 『サバイバル! 炎上アイドル三姉妹がゆく』
本書は、副題に『マンガで学ぶデジタル時代の「人を動かす」』とあるように、カーネギーの教えを漫画でわかりやすく説いたものだ。しかも内容や設定は、ネットやSNSが全盛の現代に合わせてアップデートされている。カーネギーが伝えようとする「人間関係の原則」や「対人関係の技術」は、誰しもが悩むものであり、人生の重大事項であることは間違いないだろう。それはつまるところ、「どう生きるか」につながっている。

■紛争、貧困…領域を拡大し、変化する「地球環境問題」
 ―― 『ひと目でわかる地球環境のしくみとはたらき図鑑』
「地球環境問題」は20年近く前にはすでに、学校現場でも主要なテーマだった。経済的な発展や開発をとるのか、地球環境の維持をとるのかという二元論にしやすいので、国語、外国語、入試などあらゆる小論文や討論のテーマとして好まれたのだろう。現在でも、図書館や学校教育において「手堅い」テーマとして、毎年関連書が各社から発行されている。本書『ひと目でわかる地球環境のしくみとはたらき図鑑』も、そうした「環境本」の一つであるが、これまでの環境本とどのように違うのだろうか。

■「『真っすぐに治る』ということはあり得ない」 
 心理臨床の実践をめぐる対談集『治療的面接の工夫と手順』
本書『治療的面接の工夫と手順』は、精神療法を専門とする増井武士・東亜大客員教授と、フォーカシングで著名な池見陽・関西大教授による対談を収めた一冊です。技法や知識の習得ばかりを重視する心理臨床の世界に疑問を投げかけ、「一人の人間」として患者に向き合うことの重要性を縦横無尽に語り合う二人。「『真っすぐに治る』ということはあり得ない」など、長い臨床経験と専門性に裏打ちされた言葉の数々は、心理職に携る者はもちろん、一般読者にも深い示唆を与えてくれます。今回は、その中から一部を抜粋してご紹介します。

■旅行ガイドブックから浮かび上がる、明治初期~太平洋戦争期の日本のすがた『近代日本の旅行案内書図録』
ガイドブックの形式的特徴を挙げるならば、旅心を誘うビジュアル重視の構成、目を引く見出し、隙間はゆるされないとばかりに詰め込まれた大量のテキストというところでしょうか。ある意味で情報社会の象徴ともいえる構成ですが、この種のガイドブックは、じつは明治初期から大量に出版されており、当時の世相を知る重要な手がかりともなっています。当時の人々はどのような旅行をしていたのか――観光の文化史を研究されている荒山正彦先生(関西学院大学教授)の『近代日本の旅行案内書図録』をご紹介します。

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