創元社NEWS*2020年8月号
実は去る6月、今をときめく歌手&俳優である上白石萌音さんから、テレビ「世界一受けたい授業」にて、弊社刊行の『 誰も知らない世界のことわざ』をご紹介いただくという僥倖がありました。この知らせを聞いた時に「あの『君の名は。』でヒロインを演じた方!?」とリアクションをしたのですが、即座に「いや、今は『恋つづ』やで。」と冷静な社内ツッコミをもらいました。
おかげさまで売行は大変好調です。皆さまももし書店で同書をお見かけすることがあれば、ぜひお手に取っていただければ幸いです。
それでは今月のメルマガをお送りします。(A)

編集者の裏×裏・・・イチオシの新刊を担当編集者の声とともにご紹介。
新刊&近刊情報・・・絶賛発売中&これから発売予定の新刊ラインナップ。
営業部だより・・・営業部員がお届けする、本が読まれる現場からの報告。
[連載]ソジーのゲラ・・・公式キャラクター・ソジーが現在編集中の本のゲラを紹介。
将棋瓦版・・・創元社将棋普及チーム4名がお届けする、将棋に関するつぶやき。
キャンペーンのお知らせ・・・現在実施中のキャンペーン情報。
「じんぶん堂」掲載情報・・・「じんぶん堂」に掲載された弊社記事をお知らせ。

 編集者の裏×裏(ウラジジョウ)
イチオシの新刊を担当編集者の声とともにご紹介。

ひと目でわかる 地球環境のしくみとはたらき図鑑【8/18発売】
トニー・ジュニパー著/赤羽真紀子、大河内 直彦監修/千葉喜久枝訳 定価(本体2,800円+税)

大好評イラスト授業シリーズ第4弾。本書では地球環境問題を、経済開発や人口問題、テロや難民問題などの人間社会に関わる側面と、温暖化や大気・海洋汚染、生物多様性への脅威など自然や科学技術に関わる側面、両方にまたがる幅広いトピックを抜き出し、地球が直面する危機とそれに対する取り組みとを、わかりやすく図解します。さまざまな要素が複雑に絡み合う環境問題を総合的に理解できる、これまでにないビジュアル図鑑です。

担当編集者より
振り返ってみれば、「地球環境問題」は、20年近く前から学校現場でも主要なテーマだった。経済的な発展や開発をとるのか、地球環境の維持をとるのかという二元論にしやすいので、国語、外国語、入試などあらゆる小論文や討論のテーマとして好まれた。そのため、実のところ私にとって「環境問題」は食傷気味といってもいいテーマだった。
しかし、本書の原書を開いて「おっ」と思ったのは、第2章で「読み書きの能力」や「政治腐敗」「テロリズムの増加」「故郷を追われる人々」など、いわば一昔前の「環境問題」では扱わなかったであろうテーマがたくさん収録されていたからだ。
かつて私たちが小論文や検定試験で扱っていたことといえば、いかに温室効果ガスの排出量を減らすか、電気のない生活に耐えられるのかといった議論ばかりだった。しかし今や、政情不安や貧困が地球環境の破壊に繋がっていることはきちんと認識されている。自然科学的なことばかりでなく、あらゆる人にとって、あらゆる植物や動物にとって、社会的にも「持続可能」な環境をつくることが、ゆくゆくは「地球環境の維持」を可能にするという考え方が広まりつつある。
もちろん、クリーンエネルギーやプラスチックゴミ削減などの直接的な課題は当然取り組まなければならない。しかし今や、地球の裏側の貧困やテロや紛争、難民、格差や暴力を考慮しなければ、あるいは人間以外の生物種に平等に思いを致さなければ、本当の意味で地球環境に取り組んだとはいえないのかもしれない。
ひとつのテーマを掘り下げる専門書とは違って、図鑑はひとつひとつの解説は簡潔だが、広範なテーマを扱い、多角的な視点を持つことを教えてくれる。本書は数多くの「地球環境問題本」のひとつだが、その問題をより現代的に、多角的に論じることにおいて、きっと役に立つと信じている。(O)

╋ 新刊&近刊情報
絶賛発売中&これから発売予定の新刊ラインナップ。

なぜか突然、中学受験。【7/8発売】
細川貂々著 定価(本体1,200円+税)

『二月の勝者』著者・高瀬志帆氏、推薦!偏差値28、合格率0%からの逆転劇?!『ツレがうつになりまして。』のツレと細川貂々が息子の中学受験に挑む。試験迄120日。

学校臨床力を磨く事例検討の進め方――かかわり合いながら省察する教師のために【7/8発売】
角田豊編著 定価(本体3,200円+税)

事例の整理に役立つフォーマットの記述例も豊富に交え、子どもだけでなく教師自身の思いや気持ちも視野に入れる独自のアプローチに基づいた事例検討の実際を詳しく紹介


すぐに役立つ366日記念日事典 第4版 上巻【7/22発売】
日本記念日協会編/加瀬清志著 定価(本体1,500円+税)

1年366日の記念日を網羅した記念日事典の決定版。上巻には1月~6月の記念日を収録。食、ファッション、健康、交通、歴史などあらゆる記念日の名称や由来を解説。

すぐに役立つ366日記念日事典 第4版 下巻【7/22発売】
日本記念日協会編/加瀬清志著 定価(本体1,500円+税)

1年366日の記念日を網羅した記念日事典の決定版。下巻には7月~12月の記念日を収録。食、ファッション、健康、交通、歴史などあらゆる記念日の名称や由来を解説。

宮沢賢治の地学読本【7/22発売】
宮沢賢治著/柴山元彦編 定価(本体2,200円+税)

宮沢賢治の作品をもとに地学を学ぶ人気シリーズ第三弾。これまでごく一部しか引用できなかった賢治作品の中から、特に地学的に優れた5作品を詳しい註釈とともに全文掲載。

近代心理学の歴史【8/4発売】
C・G・ユング著/E・ファルツェーダー編/河合俊雄監修 定価(本体3,800円+税)

人間の心に現れるものすべてを、ありのままの現実として受け入れることからユングの心理学は始まる。客観的な対象に限る一般科学や哲学とは異なる「ユングの考える心理学」の歴史。

江戸時代の明智光秀【8/18発売】
村上紀夫著 定価(本体1,500円+税)

近世都市京都の町や集団や家が、多様な光秀像を創り発信する過程を実証的に明らかにする、本能寺の変の謎にも、「本当の」人物像にも迫らない、今までにない、明智光秀論。

治療的面接の工夫と手順――人間学的力動論の観点から【8/18発売】
増井武士、池見陽著 定価(本体2,500円+税)

精神療法とフォーカシングで著名な二人の専門家が、自身の臨床をめぐって対談。「一人の人間」として患者に向き合うことの重要性を縦横無尽に語り合う。

増補 聖別された肉体――オカルト人種論とナチズム【8/25発売】
横山茂雄著 定価(本体3,800円+税)

ナチ・ドイツにおいて、純粋アーリア=ゲルマン人種を造らんとする計画実行にまで至ろうとしたオカルティズム。その隠された相貌を初めて明らかにした幻の名著を増補再刊。

本のリストの本【8/25発売】
南陀楼綾繁、書物蔵、鈴木潤、林哲夫、正木香子著 定価(本体2,300円+税)

本を愛してやまない5人の著者が、さまざまな時代、さまざま場所に存在した「本のリスト」を見つけて、歴史や雑学や個人的な体験と共に紹介する。

はじめてのAI【8/25発売】
土屋誠司著 定価(本体1,800円+税)

もそも人工知能とは何か、どういう歴史を歩んできたのか、どういった課題があるのか、そして私たちの生活にどのような影響を与えるのか。教養としてのAI入門。



╋ 営業部だより
営業部員がお届けする、本が読まれる現場からの報告。
暑い季節、書店店頭でフェアと言えば各社の「夏の文庫フェア」が花盛りですが、実は人文書にも長年夏に行っているフェアがあります。そのフェアのタイトルは、
【四六判(しろくばん)宣言】。

「四六判」とは、現在流通している単行本の標準的なサイズの呼称のひとつです。(縦約19センチ ×横約 13センチ)
「文庫のように大量生産できないが、読み継がれるべき基本図書やロングセラー」など、出版社が大切にしている本たちを多く読者に届けたい!と願うコンセプトに賛同してくださる書店様で開催しているブックフェアです。

第21回を迎える今回は「知が集う、書物の祭典」というテーマで、全国120店あまりの書店様でご展開いただいています。また、Twitterでも「四六判宣言」11社の会( @shirokuban)として、各地の書店様のご展開の様子や、書籍の紹介をしています。
この活動が、普段平積みになる機会も少ない人文書を、読者の皆様のお手に取っていただくきっかけになることを願っています。
(TI)

※写真協力:喜久屋書店阿倍野店様(大阪市)


[連載]ソジーのゲラ
公式キャラクター・ソジーが現在編集中の本のゲラを紹介。
「ソジー、今度は何の本のゲラを見つけたの?」 
………なあにソジー。何をそんなに震えているのかって? だって……9月の新刊『 世界で一番美しい「もの」のしくみ図鑑』のゲラがね、あまりにも私の心に刺さって……!

この図鑑は世界的にベストセラーになった『世界で一番美しい元素図鑑』シリーズの著者&写真家コンビが贈る最新作で、鍵や時計、はかり、織機など、古代から人間が技術を進化させ続けてきた身近な「もの」の構造を、歴史の流れとともに紹介しているんだ。
私は工学はさっぱりだけど、ものができる過程や機械のしくみを見るのが! と~~~っても好きなの! 合理的で無駄のない設計、一方で余分な「あそび」もなければうまく動作しない矛盾、精緻な構造やデザインを実現させるための職人技……たまらないわぁ(嘆息)。
しかも図鑑の冒頭では、いわゆる「スケルトン家電」の特集も。私が子どものころ、スケルトン・ブームというのがあってね、パソコンもゲームボーイもカセットテープもデジモンも、みんなスケルトンデザインがあったんだよ、懐かしいなあ……。

ちょっと、ソジーは活字の妖精なんだから、当然その頃のこと知ってるでしょ? 「カセットって何? どの時代の話?」ってカオやめなさい!(O)


╋ 将棋瓦版
将棋が好きな男性社員二名と将棋に興味が出てきた女性社員二名がお届けする将棋に関するつぶやき。
「戦争。
昭和14年、21歳の升田幸三六段は、内地勤務で三年間、軍隊にとられた。内地だから新聞や雑誌がある。だから将棋の研究は続けていた。だが、除隊になって指してみると将棋がまったくダメになっていた。とりもどすのに半年かかった。(中略)
ところが、升田、二度目は最前線の南洋ポナペ島へやられた。上陸したとたんに爆撃を食い、命が危ない。精神は緊張し、もう不平も何もない。それに「木村打倒」の執念に燃えてもいた。そして命を拾って復員してきたとき、コマをさわったこともなかったのに、将棋は一回り強くなっていた。ギリギリの精神緊張の集中が、ちょっとやそっとのことでは動揺しないものを植えつけた。」
中平邦彦『棋士・その世界』(講談社)より

時は流れて2017年8月15日、藤井聡太四段(当時)は大阪・関西将棋会館で小林健二九段と王位戦予選で対局し、120手で勝利を収めた。終戦記念日の対局について「平和な時代だからこそ将棋を楽しめるので、非常にありがたいことだと思います」と語った。

死線を超えたから強くなれた、平和だから強くなれた、真逆ながらどちらも真実だ。

╋ キャンペーンのお知らせ
現在実施中のキャンペーン情報。
【1】訳アリ本販売キャンペーン *終了直前!
訳アリ本とは、新本ではあるものの、流通過程で痛みや汚れが生じたために、一般の書店では販売できなくなってしまった商品です。これら書籍を創元社ホームページにて、特別価格でご提供いたします。
■実施期間:7月10(金)10時~8月11日(火)

【2】『心理学手帳』愛読者アンケート
『心理学手帳』を購入しアンケートにご協力いただいた方の中から抽選で30名の方にオリジナルクリアファイルをプレゼント。

╋ 「じんぶん堂」掲載情報
「じんぶん堂」に掲載された弊社記事をお知らせ。
■海の中に、命きらめく、もう一つの世界 『世界で一番美しい海のいきもの図鑑』
潜水歴40年、世界80カ国以上の海を旅してきた海洋写真家・吉野雄輔さんが出会った地球上のもう一つの世界。
ハッとするような美しい色をした魚やこの世のものとは思えない不思議な姿形をした生き物など、生命の神秘や一瞬の輝きを捉えた厳選写真375点を、撮影者だけが書けるライブ感あふれる文章と興味深い生態エピソードとともに『世界で一番美しい海のいきもの図鑑』にまとめました。

■日本刀を彩る美の宇宙 『刀装具ワンダーランド』
美術館や博物館で、刀と一緒に展示されているのを見たことがある。
でも、小さすぎてよく分からないから、横目に見つつ通りすぎてしまった。
そんな経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、その小さな刀装具をよく見てみると、精緻で美しく、豊かな世界が広がっています。

■地学を学んで、物語のさらに深みへ 『宮沢賢治の地学読本』
今でこそ詩人、文学者として有名な賢治だが、生前は花巻農学校で地学を教える教師だった。子どもの頃から石に親しみ、成層火山である岩手山に好んで登り、北上河岸を「イギリス海岸」と呼んで繰り返し訪れていた賢治は、当時の最新の地学知識を文学作品に織り込んでいたのである。
賢治の幻想的、神秘的な独特の表現は、地学を学んでから読み返すと、「あれはそういうことだったのか!」と膝を打つことも少なくない、というか、打ちすぎて膝が真っ赤になるほど存在するのである。

■今日は何の日? 日々のコネタに、社会を考えるきっかけに
 『すぐに役立つ 366日記念日事典』
記念日協会編『すぐに役立つ 366日記念日事典』は、2009年の第1版刊行から有り難くご好評をいただき、増補改訂版、第3版と続き、このたび4年ぶりに第4版を刊行する運びとなりました。
記念日情報が大幅に増え、ついに上下巻の2分冊に。これまで手に取っていただいた多くの読者の方々と、編著者である記念日協会加瀬清志さまに厚く御礼申し上げます。
と、かしこまった挨拶から始まりましたが、ここからはちょっとくだけてこの本の面白さをお伝えできればと思います。

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