創元社NEWS*2020年6月号

(お詫び)
さきほどお送りしたメルマガの内容に誤りがありました。
あらためて6月号を再送させていただきます。
ご迷惑をおかけしてしまい、たいへん申し訳ありません。
梅雨入り前、さまざま恐縮ですが、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

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私が応援すると短期打ち切りになるという謎のジンクスがあるためずっと黙っていたのですが、『週刊少年ジャンプ』で連載中の『鬼滅の刃』がついに完結しました。
かなり激しい描写があるにもかかわらず、アニメの主題歌が紅白で歌われるなど、子どもから大人まで当たり前のように読んでいるという不思議な作品でしたが、自粛期間中の日々を生きながらえさせてくれたのは、そうした「続きが読みたくなる物語」だったなと、仕事終わりに本屋さんに行くという当たり前の日々が戻りつつあるなかであらためて実感します。
私たちが作る本もそんな誰かの糧になれば、と願いつつ、今月のメルマガをお送りします。(A)
編集者の裏×裏・・・イチオシの新刊を担当編集者の声とともにご紹介。
新刊情報・・・絶賛発売中の新刊ラインナップ。
営業部だより・・・営業部員がお届けする、本が読まれる現場からの報告。
[連載]ソジーのゲラ・・・公式キャラクター・ソジーが現在編集中の本のゲラを紹介。
将棋瓦版・・・創元社将棋普及チーム4名がお届けする、将棋に関するつぶやき。
キャンペーンのお知らせ・・・現在実施中のキャンペーン情報。
「じんぶん堂」掲載情報・・・「じんぶん堂」に掲載された弊社記事をお知らせ。

 編集者の裏×裏(ウラジジョウ)
イチオシの新刊を担当編集者の声とともにご紹介。

死後も生きる〈意識〉
――ここではないどこかへの旅
【6/24発売】
ピーター・フェンウィック著/エリザベス・フェンウィック著/松田和也訳 定価(本体2,200円+税)

死を前にした大きな不安を和らげるために生まれた、様々な宗教。しかし、来世や転生を盲信できない人は、どうやって死を受け入れればよいのか。本書は、そんな現代人の不安に応える、新しい「往生術」である。著名なイギリスの神経精神医学者とその妻が、科学的な臨床研究で収集した、興味深い臨死状態におけるヴィジョンや現象を紹介しながら、肉体が朽ちた後も消えることなく、宇宙の中に統合されていく〈意識〉の存在に迫る。

担当編集者より
どうして人は来世や転生を信じられるのだろうか。少なくとも私はまったく信じていないし、この先、信じられるとも思えない。だけど死ぬこととはどういうことなのかについては、死ぬほど気になってならない。
宇宙の起源も謎すぎる。ビッグバン理論がなぜ科学的なのかが全く理解できない。起源そのものの妥当な感覚は、人間が創造=捏造した世界誕生の神話の方に軍配が上がる気がしてならない。もちろん信じないけど。
てなことを考えながら仕事をしているなかで、ふと目に留まったのが『死後も生きる〈意識〉』の原書だった。刊行は2008年。当然翻訳されているだろうな、と思ったことは事実だし、イギリスの本だということで一縷の望みを託したことも嘘ではない。結局、邦訳はなく、ガッツボーズはしてないものの、心の中で「よっっしゃー!」と叫んだことは本当だ。
翻訳書企画の醍醐味は、バカ売れしたばかりのベストセラーを取ってくることではなく(だいたい弱小出版社じゃまずそんな本、取れないしね)、長らく邦訳のされていない面白そうな本を取ってくることにこそあるといっても過言ではない。
テーマは往生術。生き方ではなく、死に方の本。宇宙の起源と終焉をぼんやりいつも考えてしまうけど、安直に来世や輪廻を信じられない人には、ピッタリの本だと思っている。
だってやっぱり、死ぬときには少し安心して死にたいわけだし。(yy)

╋ 新刊情報
絶賛発売中の新刊ラインナップ。

百舌鳥古墳群をあるく 増補改訂第2版――巨大古墳・全案内【5/20発売】
久世仁士著 定価(本体1,800円+税)

世界遺産に登録された百舌鳥古墳群を再訪し、現存する全古墳を案内。第2版では発掘調査や現地情報を刷新し、大阪府内の北摂・泉州、大阪市内の古墳も増補して紹介。図版多。

古市古墳群をあるく 増補改訂第2版――巨大古墳・全案内【5/20発売】
久世仁士著 定価(本体1,800円+税)

世界遺産に登録された古市古墳群を再訪し、現存する全古墳を案内。第2版では発掘調査や現地情報を刷新し、大阪府内の河内地域全域の古墳も増補して紹介する。図版多数。

「代数」から「微積分」への旅【5/20発売】
マイク・ゴールドスミス著/緑慎也訳 定価(本体2,400円+税)

この本の使命は、代数や微積分を一種の言語(ことば)と考え、このことばを操る方法をお教えすることです。美しい図版や事例をもとに、数学の新たな世界を紹介します。

花束の石 プルーム・アゲート【5/25発売】
山田英春著 定価(本体1,800円+税)

多彩で華麗な美しさの最高峰、プルーム・アゲートに焦点を絞り、その魅力を存分に伝える一冊。アクセサリーや鑑賞石として珍重された名品の数々を、その産地別に一挙紹介。

エセンシャル・ユング――ユングが語るユング心理学【5/25発売】
A・ストー編著/山中康裕監修/菅野信夫ほか訳 定価(本体5,400円+税)

イギリスの心理学者ストーによるユングの代表的著作と論文からの精選抜粋集。引用したユングの文章に編者による解説と案内文を付け、1冊でユング心理学のすべてが分かる。

恐竜と古代の生き物図鑑【5/25発売】
ダレン・ナイシュ監修/ジョン・ウッドワード著/田中康平監訳/喜多直子訳(本体2,200円+税)

はるか昔、地球には恐竜をはじめ見たこともないような生き物が暮らしていた。1000点以上のフルカラー画像とともに最新研究から解明された古生物の驚くべき世界を紹介。

花のそと【5/25発売】
徳光孝著/徳光正子編 定価(本体1,500円+税)

天保元年創業、大阪北浜の料亭・花外楼。「大阪会議」の舞台になる。木戸孝允、伊藤博文ほか、政財界の多くの人々がこの場に集った。その世に知られない様々の逸話を綴る。




╋ 営業部だより
営業部員がお届けする、本が読まれる現場からの報告。
小さい頃、父親が図鑑や事典、年表などを買って帰ってきてくれたことがあった。時期は大体決まっていて、春頃。年に1~2回ではあったがとても楽しみであった。
街の本屋さんは春の企画商材を学校の図書館や教育関係者に営業をする。小学校の教師をしていた父親に毎年春頃、出入りしていた本屋さんが営業に来ていたのだろう。
創元社の営業として街の本屋さんへ販売促進をしており、回りまわって私がこのような仕事をすることになるとは思ってもいなかった。

父親に、買ってもらった本の中で一番記憶に残っているのは、
『20世紀全記録-chronik 1900-1990』
中身がボロボロになるまで読んだ。外出自粛中、またどうしても読み返したくなりインターネットで中古本を探し、再び手に入れることが出来た。
このように、生涯何度も読み返す本に出会うことはあと何回あるのだろうか。

最近、弊社から『 【ビジュアル版】世界の歴史 大年表』を刊行した。昔の年表は文字ばかりであったが、この本はオールカラーで多くの図版により世界の歴史を学ぶことが出来る。基本的に1つのテーマが見開きで完結しており、流れで学ぶことができる。
果たして私が経験したように、この本を何度も読み返してくれる方がいるのか、期待している。(K.Y)


[連載]ソジーのゲラ
公式キャラクター・ソジーが現在編集中の本のゲラを紹介。
「ソジー、今度は何の本のゲラを見つけたの?」 

創元社も今月から通常業務に。久々に人の多い会社でソワソワしていたソジー、このコーナーには珍しく?文字だらけのゲラを見つけた様子。
これは私が今作っている7月の新刊『 宮沢賢治の地学読本』のゲラ。
文学者として有名な宮沢賢治だけど、実は地学の先生でもあったんだ。
だから地学を勉強してから賢治の作品を読むと「このふしぎな表現、あれのことを言ってたのか!」「この話、めっちゃうまいことできてる!」と膝を叩くことしきりなんだよ。
理数科目が苦手な人も、文学を通してなら勉強する気になるかな~と思って企画したのが『 宮沢賢治の地学教室』『 地学実習』シリーズで、これは第3弾。
これまでは地学の解説に重きを置いていたから、作品の引用はごく一部しかできなかったんだけど、今回は解説はコンパクトにした分、5作品を全文掲載しているから、賢治の文学と地学の世界にどっぷり浸かれるんだよ。
私が一番好きなのは「風野又三郎」(有名な「風の又三郎」のプロトタイプ)かな。当時の知識ではあるけれど、大気の大循環のしくみがうまく童話に織り込まれていてすごくおもしろいよ!
ソジーもケンジ先生の森の学校に入って勉強してみたら?
(O)

╋ 将棋瓦版
将棋が好きな男性社員二名と将棋に興味が出てきた女性社員二名がお届けする将棋に関するつぶやき。
高橋道雄著『鬼手事典』が刊行されました。将棋をまったく知らない私は、時として自社の刊行物なのに、初見でタイトルが読めないことがあります。今回も、TVドラマなどで「王手!」と叫ぶシーンを連想し「おにて……?」と思ったら、この読みは「きしゅ」だそうです。
「しゅ」と読む将棋用語、悪手、緩手、強手、好手、妙手
「て」と読む将棋用語、決め手、禁じ手、勝負手、新手、千日手、封じ手
固有のことばとは、その世界では常識であっても、門外漢には難解なものですね。

鬼手事典
「えっ、そんな手があったのか!」と、対戦相手や周囲が驚く一手が鬼手である。(中略)さまざまな表情を持つ鬼手を、平成31年間のプロ公式戦から厳選してまとめたのが本書です。
~「はじめに」より~

本書は「きしゅ」と難なく読める方にとって、名場面集のような物かもしれないと想像しつつ、いつかこの面白さが解ったらいいなと、最近思うようになりました


╋ キャンペーンのお知らせ
現在実施中のキャンペーン情報。
【1】「聞く技術」20周年記念キャンペーン
創元社ホームページから『プロカウンセラーの聞く技術』『マンガで読み解く プロカウンセラーの聞く技術』をご購入の方に、特製帯とオリジナルしおりをプレゼント!

>>『プロカウンセラーの聞く技術』特設サイト

╋ 「じんぶん堂」掲載情報
「じんぶん堂」に掲載された弊社記事をお知らせ。
■縄文とビジネスというミスマッチを楽しむ『縄文力で生き残れ』
『縄文力で生き残れ』という本はひじょうにふざけている本だ。ビジネス本のフリをしているけれど、表面的にはまったくビジネスの役には立たない。この本は縄文とビジネスをモチーフにしたネタ本だ。役に立たなくても、明日の営業成績にも、来月の経常利益にも影響しなくても、僕はこの本をおすすめしたいと思っている。忙しいビジネスパーソンに今必要なのは野菜でも時間でもない、縄文力なのだ。

生存のための知恵と創造力 『ポーランドの前衛美術――生き延びるための「応用ファンタジー」』
厳しい状況下の1950年代のポーランドで生まれた「応用ファンタジー」は、生き延びるための技術とウィットに満ちた芸術様式。第二次世界大戦前後から今日までのポーランドの美術を取り上げ、その詳細を歴史的文脈にも沿いながら論じた本書は、欧米中心の美術に再考を促すきっかけとなる1冊。著者からポーランドとの関係と芸術について寄稿いただいた。

神話と庭のアクチュアリティ 『はじまりが見える世界の神話』
神話や根源的なイメージをモチーフに、絵本や絵画作品を発表する新進気鋭の画家、阿部海太。『はじまりが見える世界の神話』は、彼の神話への探究心を端緒に生まれた一冊だ。画家は、自宅から眺める春の庭に生きた神話の気配を感じ取り、洞察は世界の多様な在り方へと広がっていく

ポストコロナ時代、『ジェインズヴィルの悲劇』はもはや「縮図」ではない?
世界各国で新型コロナウィルスの感染拡大がますます深刻化し、渡航制限やロックダウンが施行され、厳重な自粛が呼びかけられている。日本より早い時期からパンデミックの様相を呈した中国や欧州各国の報道に混じって、アメリカでは2月なかばの時点でインフルエンザの死者が1万人を超えたという記事を目にした。さらにその後コロナ流行の波も押し寄せ、現在ではアメリカの感染者数・死者数は世界一に達しているという。こうしたニュースを受け取るたび私は、ジェインズヴィルの人々は今頃どうしているのだろうと考えてしまう。

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